1 :2022/04/17(日) 18:53:22 ID:gF655g8Z9.net
イスラエル・レホボトで取材に応じるロシア人映画制作者のドミトリー・ボゴリュボフさん。AFPTVの映像より(2022年4月17日撮影)。(c)ALEX HAMBURG / AFPTV / AFP
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地にある自宅で取材に応じる、ロシアから移住してきた言語学者のオリガ・ロマノワさん(2022年3月29日撮影)。(c)MENAHEM KAHANA / AFP
【4月17日 AFP】ロシア軍の戦車がウクライナに侵入してきた瞬間、映画制作者のアンナ・シショワボゴリュボワ(Anna Shishova-Bogolyubova)さんとドミトリー・ボゴリュボフ(Dmitry Bogolyubov)さん夫妻は、祖国ロシアを去らなければならないことを悟った。
「次は私たちの番だ」と夫妻は感じた。ボゴリュボフさんによれば、ロシアでは「外国の代理人」に指定されると、「自己検閲や、遅かれ早かれ刑務所送り」の人生に直面する。今は、イスラエルの閑静な町レホボト(Rehovot)でアパートを借りて暮らしている。
ボゴリュボフさんは2019年、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が地方圏で自身の権威を高めるため、ナチス・ドイツ(Nazi)との戦いを引き合いに出す様子を描いたドキュメンタリー作品『Town of Glory(原題:栄光の町)』をドイツの資金で制作した。
しかしロシア政府は、国際的な孤立が深まる中、外国資金で制作された映画やドキュメンタリー作品に疑いの目を向けるようになった。ボゴリュボフさん夫妻も例外ではなかったという。
「ここ数年、脅威を感じていた。特にここ数か月は当局の監視が張り付き、映画のセットも写真を撮られていた」と、シショワボゴリュボワさんは話した。
夫妻はロシアで仕事を続ける一方、ユダヤ系であることを利用し、万が一に備えてイスラエルの市民権を取得した。イスラエル帰還法では、祖父母のうち一人でもユダヤ人がいれば市民権の付与が認められる。
■戦争反対
イスラエル移民当局によると、ロシアのウクライナ侵攻後、イスラエルに逃れたウクライナ人は2万4000人近くに上る。ロシア人も「都市部の中所得層に属する若い大卒者」を中心に約1万人がイスラエルに逃れた。
モスクワ生まれの言語学者オリガ・ロマノワ(Olga Romanova)さん(69)は、プーチン大統領が2014年にクリミア(Crimea)半島を併合した後、「ロシアでは何かがおかしくなってきている」と感じ、イスラエルのパスポートを申請した。
もともと、イスラエルに住む子どもたちの元へいずれ移住しようと考えていた。だが、侵攻が始まった2月24日の朝、「一刻も早く出国しなければならないことが証明された」と語る。
「ウクライナでの戦争は、私の考え方や道徳観とは相容れない。気分が悪くなる」。ロマノワさんは、エルサレム(Jerusalem)郊外の息子の家で孫たちの写真に囲まれながら、涙をこらえた。
■永住か、仮住まいか
ここ7週間にウクライナとロシアからイスラエルに流入した移民の数は、ソビエト連邦の崩壊によって1990年代初頭に起きた大規模移住以来の多さとなっている。
「ここなら安心してゆっくり眠ることができる」とシショワボゴリュボワさん。「でも、この先ずっとここで暮らすかは分からない。仕事次第だ。今はただこの瞬間を生きて、気持ちを落ち着かせたい。後のことはそれから考える」
市民権を取得した人たちにとっても、イスラエルは未知の土地だ。ロシアへの郷愁は隠せない。
「私は祖国を失った。盗まれてしまった。プーチンとKGB(旧ソ連国家保安委員会)の悪党たちに奪われたのだ」と、ロマノワさんは物憂げに語った。(c)AFP/Delphine Matthieussent
2022年4月17日 16:00
https://www.afpbb.com/articles/-/3400672?act=all