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【話題】「米アニメーション界から宮崎駿が出ない理由」 米学生アカデミー賞ファイナリストの日本人が語る

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1 :2021/08/28(土) 16:33:01.02 ID:CAP_USER9.net

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86641

「学生アカデミー賞」という賞をご存知だろうか。アメリカのアカデミー賞が主催する、学生版のオスカーで、過去の受賞者の方々の中にはピクサーで数々の作品を監督しているピート・ドクター監督や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバー ト・ゼメキス監督など、そうそうたる顔ぶれが名を連ねる。この学生アカデミー賞のアニメ部門ファイナリスト、中学を出て単身アメリカに渡った日本人女性23歳の田村鞠果さん。5月に大学を卒業をしたばかりで、10月の授賞結果を待つ田村さんにアメリカのアニメ界のこと、アメリカ作品と宮崎駿作品、細田守作品との違いを現地でどのように捉えられているかなどをインタビューで伺った。

抜粋
田村さんによると、やはりアメリカでも宮崎作品、細田作品の人気は根強いという。

――アメリカで気づいたのは、日本のアニメファンの多さです。自分の周りにも日本アニメが大好きな人たちが多く、日本アニメは海外の人にも沢山のインスピレーションを与えているんだということを実感しました。その中でも宮崎監督や細田監督の描く独特な世界観は沢山の人を惹きつけています。宮崎監督と細田監督作品のどちらからも感じるのが、「物語の全てのからくりを説明する必要はない」という姿勢です。起承転結はあるものの、お二人の作品には上に挙げたように、不思議さや曖昧さ、解釈の余地があります。そして、物語や世界観にそれぞれの監督の個性が色濃く出ているように思います。これはアメリカのアニメ作品との大きな違いだと感じます。

――アニメが大好きな友人達と一緒に、アメリカと日本のアニメの違いについて話すこともあります。その中で気づいたことは、アメリカのアニメ映画の世界観はとても綿密に作り込まれているものの、コンセプトはシンプルで簡潔なものが多いということです。例えば、『トイストーリー』なら、「もしおもちゃが本当に動いていたら?」ですし、『アナと雪の女王』は有名な童話「雪の女王」をモチーフにしています。しかし、宮崎監督や細田監督の作り出す世界は、ひと言では表せない、それぞれの監督達の「ワールド」があります。例えば『千と千尋の神隠し』には神様もいれば動物、龍もいて、形容し難いにもかかわらず、私たちはその世界を目の当たりにすれば夢中になります。常に主人公に焦点をおいて物語がどんどん進んでいくアメリカのアニメ映画に比べ、日本のアニメ映画は「監督達の描いた世界観に浸る」という楽しみ方ができるのではないかなと感じます。その独特な世界観が、海外でもファンの多い理由の一つだと思います。

この「シンプルで簡潔なもの」を求めるアメリカのアニメーションは、アメリカのアニメ界で宮崎監督や細田監督のような存在が出にくい大きな理由ではないかと田村さんは言う。

――私の思うアメリカと日本のアニメ作品の大きな違いは、日本アニメは「宮崎駿作品、細田守作品」など監督名で知られるのに対し、海外アニメは「ディズニー、ピクサー作品」などスタジオ名で知られるということです。もちろん、ジブリという名はひとつ通っているものですが、「スタジオジブリ作品」と聞くと、宮崎監督か故・高畑勲監督という個人を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。私なりにその理由を考察してみると、大きな理由の一つとして、アメリカのアニメ映画では「物語の分かりやすさ」が日本のアニメより重要視されていることにあると思います。物語を誰にでもわかりやすくするために、ディズニーやピクサーでは「ブレイントラスト」という会議があります。この会議では、他の作品を担当した監督や脚本家が集まり、作品のストーリーやメッセージが見る人に伝わるのか、そもそも観客の感情を引き出す物語か、平凡な話になっていないか、など正直な意見をぶつけて徹底的に話し合い、その結果監督の元のアイデアが大幅に変わることも多くあるといいます。

――そして監督は、その意見を受け止めてアイデアを練り直しつつ、自分のビジョンも守っていく、という作業が必要になります。そのため、いくら監督とはいえ、アメリカのアニメではその監督の個性が前面に出ることは日本に比べて少なくなるのだと考えます。また、アメリカのスタジオでは監督が作品ごとに変わることが多くあります。そのため、一人の監督がスタジオのブランドを確立することがないのです。どちらが正解、というのではもちろんありません。実際に、私はどちらの作品も大好きで、常にインスピレーションをもらっていますし、それぞれの強みがあると感じます。アメリカのスタジオのシステムの良いところは、沢山の人が監督になるチャンスがあり、それにより常に違った視点から物語が作られることだと思います。

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