1 :2020/06/18(木) 12:45:04.00 ID:dIEKiLfK9.net
5月2~5日の大型連休に開催予定だった世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット98」が新型コロナウイルスの影響で、1975年の開始以来、初めて中止された。創作者やファン、運営団体や印刷業者ら多くの人の熱意で続いてきた一大イベント。次回開催も不透明な中、参加者の意欲や企業体力の低下が懸念され、従来の仕組みが機能しなくなる恐れも。日本の漫画文化を支えてきた土台が危機に直面している。 (清水祐樹)
◆夏に東京ビッグサイト使えず、GWに予定も…
コミケは毎年、夏と冬に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれ、昨年の来場者は夏冬とも四日間で延べ七十万人を超えた。今夏はビッグサイトが東京五輪・パラリンピックの報道拠点となるため使用できず、初めてゴールデンウイーク(GW)に開かれるはずだった。
しかし、新型コロナの感染拡大を受け、運営する「コミックマーケット準備会」は、三月二十七日に中止を決定。安田かほる共同代表によると、これまでも開催が危ぶまれた時はあったが、何とか乗り切ってきた。四十五年の歴史の中で初の事態に「『三密』は避けられないイベントなので仕方ない。それでも、とにかく悔しい」と無念さをにじませる。
コミケはただの即売会ではない。多彩なジャンルがそろい、同好の士が同人誌を介して交流を図る貴重なコミュニケーションの場でもある。会場設営を主に支えるのは、そうした「場所」づくりに意義を見いだすボランティアだ。参加サークルはコミケを目標に計画を立てて、創作活動に励む。
同人誌の多くは既存の作品をモチーフにした「二次創作」。漫画制作へのハードルを下げることから、「クリエーターのゆりかご」ともいわれる。コミケで育ち、プロとして活躍する人気漫画家も多く、日本の漫画文化を下支えする基盤ともなっており、その魅力は世界にも広がりつつある。
安田さんは「中止で参加者のモチベーションが低下すると、作品が減り、ボランティアが蓄積してきたノウハウも途絶えかねない。コミケ文化が収縮してしまうのでは」と危ぶむ。
◆大量キャンセルで印刷業者も苦境「売り上げ、前年の3割」
同人誌を印刷する業者の経済的損失も大きい。今年は元々、夏開催のコミケがGWに移ったため、従来あったGWのイベント分の受注がなくなり、厳しい状況だった。準備会広報の里見直記さんによると、コミケには約三万二千サークルが参加し、既刊・在庫分も含めて約一千万部が搬入される予定だった。新刊の印刷予定部数は不明だが、印刷業者は大量の予約キャンセルに見舞われ、そうした対応業務での疲労だけが増す結果に。
栄光(広島県)社長で、二十四社が加盟する日本同人誌印刷業組合の岡田一理事長は、コミケに出す予定だった作品をインターネットなどで販売する「エアコミケ」などの取り組みもあったことから、「同人誌の売り上げは全くゼロではないが、前年の三割ほど」とし、「これから先が一段と厳しくなるだろう」と苦境を明かす。
◆「同人誌はイベントありき」業界衰退の恐れ
岡田さんによると、同人誌を作っても実際に業者にオフセット印刷を発注するのは、コミケのような大規模イベントの際だけ。それも、一般の印刷物に比べれば、それぞれの部数は少なめだ。最大の稼ぎ時であるコミケの中止で「少部数でも受注し、高品質に仕上げてきたこれまでの仕組みが壊れてしまう恐れがある」という。
組合に加盟する「ねこのしっぽ」(川崎市)の内田朋紀社長も「同人誌はイベントありきで、即売会がないとなりたたない」と悲痛な声を上げる。業者は即売会場に搬入するまでが仕事で、「運営のルールはイベントごとに異なる。そうしたことを理解し、対応できる業者がいるから成り立っている面もある」と指摘し、業界の衰退が文化そのものを脅かす可能性に触れた。
◆夏に東京ビッグサイト使えず、GWに予定も…
コミケは毎年、夏と冬に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれ、昨年の来場者は夏冬とも四日間で延べ七十万人を超えた。今夏はビッグサイトが東京五輪・パラリンピックの報道拠点となるため使用できず、初めてゴールデンウイーク(GW)に開かれるはずだった。
しかし、新型コロナの感染拡大を受け、運営する「コミックマーケット準備会」は、三月二十七日に中止を決定。安田かほる共同代表によると、これまでも開催が危ぶまれた時はあったが、何とか乗り切ってきた。四十五年の歴史の中で初の事態に「『三密』は避けられないイベントなので仕方ない。それでも、とにかく悔しい」と無念さをにじませる。
コミケはただの即売会ではない。多彩なジャンルがそろい、同好の士が同人誌を介して交流を図る貴重なコミュニケーションの場でもある。会場設営を主に支えるのは、そうした「場所」づくりに意義を見いだすボランティアだ。参加サークルはコミケを目標に計画を立てて、創作活動に励む。
同人誌の多くは既存の作品をモチーフにした「二次創作」。漫画制作へのハードルを下げることから、「クリエーターのゆりかご」ともいわれる。コミケで育ち、プロとして活躍する人気漫画家も多く、日本の漫画文化を下支えする基盤ともなっており、その魅力は世界にも広がりつつある。
安田さんは「中止で参加者のモチベーションが低下すると、作品が減り、ボランティアが蓄積してきたノウハウも途絶えかねない。コミケ文化が収縮してしまうのでは」と危ぶむ。
◆大量キャンセルで印刷業者も苦境「売り上げ、前年の3割」
同人誌を印刷する業者の経済的損失も大きい。今年は元々、夏開催のコミケがGWに移ったため、従来あったGWのイベント分の受注がなくなり、厳しい状況だった。準備会広報の里見直記さんによると、コミケには約三万二千サークルが参加し、既刊・在庫分も含めて約一千万部が搬入される予定だった。新刊の印刷予定部数は不明だが、印刷業者は大量の予約キャンセルに見舞われ、そうした対応業務での疲労だけが増す結果に。
栄光(広島県)社長で、二十四社が加盟する日本同人誌印刷業組合の岡田一理事長は、コミケに出す予定だった作品をインターネットなどで販売する「エアコミケ」などの取り組みもあったことから、「同人誌の売り上げは全くゼロではないが、前年の三割ほど」とし、「これから先が一段と厳しくなるだろう」と苦境を明かす。
◆「同人誌はイベントありき」業界衰退の恐れ
岡田さんによると、同人誌を作っても実際に業者にオフセット印刷を発注するのは、コミケのような大規模イベントの際だけ。それも、一般の印刷物に比べれば、それぞれの部数は少なめだ。最大の稼ぎ時であるコミケの中止で「少部数でも受注し、高品質に仕上げてきたこれまでの仕組みが壊れてしまう恐れがある」という。
組合に加盟する「ねこのしっぽ」(川崎市)の内田朋紀社長も「同人誌はイベントありきで、即売会がないとなりたたない」と悲痛な声を上げる。業者は即売会場に搬入するまでが仕事で、「運営のルールはイベントごとに異なる。そうしたことを理解し、対応できる業者がいるから成り立っている面もある」と指摘し、業界の衰退が文化そのものを脅かす可能性に触れた。
東京新聞 2020年6月17日 13時56分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/36086