1 :2020/01/23(木) 09:59:28.29 ID:av6leALQ9.net
昨年10月の消費税率引き上げからまもなく4ヵ月が経過しようとしている。11月までの経済指標が大方出揃い、消費税率引き上げ後の経済状況も徐々に明らかになってきた。
【本文中の図表はコチラからご覧ください】
そこで、総務省が発表する家計調査を用いて、消費税率引き上げ前後の実質消費支出がどのように推移しているかを、過去の消費税率引き上げ時と比較したのが図表1である。
図表1では、消費税率引き上げが実質消費支出に与えたインパクトを測る基準として、消費増税が実施された前年の平均の消費水準を用いている(これを100として指数化、今回については2018年7月から2019年6月までの1年間で計算)。
図表1をみると、2019年11月時点での消費税率引き上げのマイナスの影響は前回(2014年4月)ほどではなく、むしろ、初めて消費税が導入された1989年、及び、消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年のパターンに近い形で平均的な水準にキャッチアップしていることがわかる。
次に、一橋大学が計測・公表している「SRI一橋大学消費者購買指数」の「購買支出指数」をみると、年末から年始にかけて購買支出が大きく増加したことがうかがえる(図表2)。
毎週の変動を均してみれば、12月は11月対比で緩やかに下げ幅は縮小しており、消費税率引き上げ後の実質消費支出の動きとしては、予想以上に順調に引き上げ前の平均的な水準に回帰する動きが進んでいると考えられる。
すなわち、一部で懸念されていた消費増税後の「日本経済クラッシュ」は全く発生していないということになる(冷静に考えれば、クラッシュは金融危機のような「レアイベント」が起きないと発生しないが、消費増税はそのようなレアイベントを発生させるはずはない)。
そう考えると、今回の消費増税の影響はそれほど深刻ではない、ということなのだろうか。
そこで、消費者センチメントを示す「消費者態度指数」をみると、やや気になる動きをしている。年齢別の消費者態度指数(二人以上世帯)をみると、若年層ほど11月に大きくリバウンドしているが、高齢者層はあまりリバウンドしていないことがわかる(図表3)。
つまり、高齢者になればなるほど、今回の消費増税で消費センチメントを悪化させ、それが戻っていないということである。これは、今回の消費税率引き上げに際して同時に実施されている還元措置の効果が明確に出ていると考える。
今回の還元措置は、幼児教育無償化、キャッシュレス決済へのポイント還元など、若年層ほどメリットをうけやすいものとなっていたと推測される。筆者が推計する限り、これらの還元措置を加味した消費増税のネットの影響は、30歳代までは「プラス(事実上の減税措置)」となり、40歳代以上で実質増税となっている。
その中でも特に50歳代、60歳代の負担が大きい(図表4)。消費者態度指数の動きは、このような年齢別の還元措置の効果の違いを概ね反映した形になっているのではなかろうか。
この影響は「供給側」、すなわち、消費関連のサービス業の動きにも反映されている。個人向けサービス業を「非選択型(医療・介護、通信など)」と「嗜好型(娯楽、外食など)」に分類すると、消費増税を受けて、「嗜好型個人サービス」の活動指数の落ち込み幅は前回(2014年4月)よりも大きい(図表5)。
さらに、興味深いのは、外食産業の活動指数の動きである。前回の消費増税ではほとんど影響がなかった「専門店・レストラン(簡単にいえば、「グランメゾン東京」のような高級レストラン)」の活動指数が意外と大きな落ち込みを示したことである(図表6)。
これらの状況は、今回の消費税率引き上げが比較的富裕な高齢者層に大きな影響を与えた可能性が高いことを示唆している。
「再デフレ」の動きがチラホラと
ところで、今回の消費税率引き上げが従来と大きく異なるのは、価格の上昇幅が極めて低い点である。
直近(2019年11月)の「コアコアCPI(生鮮食品、及びエネルギーを除く消費者物価指数)」の上昇率は前年比+0.6%と消費増税前の動きとほとんど変わらない。
もちろん、これは、幼児教育無償化の影響で幼稚園等の教育費が激減したことが大きいが、それを除いた場合の消費税率引き上げによる価格転嫁分は+0.8%ポイント弱であり、単純な価格転嫁率は38.5%であった(ちなみに前回は46%程度の転嫁率)。
全文はソース元で
1/23(木) 7:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200123-00069974-gendaibiz-bus_all&p=2