1 :2020/01/09(木) 15:49:05.48 ID:RVz8BNPB9.net
もちろん、中年・独身で親元にいること自体が悪いわけではないし、普通に働いている人や、親孝行として同居している人だっている。
一方で、無職やひきこもりで、実家の子供部屋に暮らしている人も。自室に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40〜64歳は推計61万3000人(内閣府、2019年発表)に上り、このうち親元に住み続けている人はかなりの数になるだろう。
介護を受けるような80代の親が、50代の子供の面倒を見なければならない「8050問題」も社会問題になっている。
しかし、中には、いったん自活したものの、中年になってからリストラや離婚で「子供部屋」に戻らざるを得なかった人もいるのだ。
◆40代で仕事を失い「子供部屋おじさん」化
「Sさんは仕事がなくなり、半年ほどですっかり元の“引きこもり”に戻ってしまいました」
こう話すのは、フリーカメラマンの松本太郎さん(仮名・40代)。同業者で、中高時代の友人Sさんは、約一年ほど前に某雑誌との専属契約を、出版社側から一方的に切られたのだという。その仕事が収入の半分以上を占めていたこともあり、Sさんは困り果てていた。
「当初は苦しいながらもなんとかやりくりしていたようですが、結局都内一等地に構えていた事務所は引き払うことに。郊外の実家に戻ったようですが、体裁の悪さを気にしたのか、親と衝突を繰り返すようになり、そのうち性格まで変わったようで、仕事にも身が入らず……という負のスパイラルに入ってしまった。
今ではすっかり引きこもってしまい、一度家を訪ねましたが、親御さんも取り次いでくれませんでした」(松本さん、以下同)
実はSさん、大学受験に失敗し自室に2年ほど引きこもっていたことがあった。せっかく社会復帰し、立派に仕事をしていたのに、仕事を失うと自信まで失ってしまい、またもや「子供部屋」に舞い戻ってしまったのである。
Sさんの高齢の両親は、幸い要介護者ではないものの、ここにきて中年引きこもりになってしまった息子に対して、大変な不安を抱いていることはいうまでもない。同じような例は他にも…。
◆離婚をきっかけに実家に戻り「子供部屋おばさん」化
「都会に嫁いだ姉(50代)が、離婚をして実家に帰ってきたんです。子供もおらず、余生は両親の面倒を見て過ごす、なんて言っていたのに、都会暮らしが長かった姉に田舎の暮らしは合わず……。子供部屋にずっとこもって、ネットで映画を見ているそうで、すっかり“子供部屋おばさん”。なんとかして、と親から泣きつかれています」
こう話すのは、彼女の弟で、実家近くに妻と子供二人と暮らす安藤勇さん(仮名・50代)。高齢の両親はともに80代後半で足腰も弱かったが「こどおば」化した娘の将来を悲観し、引退したはずの田んぼ仕事に勤しんでは、こつこつと貯金をしているという。ところが、さらなる困難がーー。
「姉はまだ60前なのに、実は、認知症の兆候が出始めています。両親が『ボケていられない』と奮起してくれて、以前よりも生き生きし始めたのは不幸中の幸いというか……。しかし、親も間もなく介護が必要になるでしょう。その時は、私がやるしかない」(安藤さん)
「こどおじ」「こどおば」といえば、ネット上での笑い話程度にしか語られることがなかったが、事態は深刻。今年はこうした現実が一気に噴出し、更なる議論を呼びそうだ。<取材・文/山口準>