1 :2019/12/21(土) 09:32:23.48 ID:8MLzKj2E9.net
約800万人の「団塊の世代」が2025年に一斉に75歳以上の後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上の「超高齢社会」に突入する。それに伴い、医療・介護の施設が大幅に不足し、認知症の人は2015年から25年までの10年間で525万人から730万人に激増する。こうした超高齢化がもたらす困難は「2025年問題」と総称されているが、高経年マンションはすでにその真っただ中にある。
今春、東京都内の100戸規模のマンションで「認知症の住人」への対応が管理組合理事の間で秘かに話し合われていた。独り暮らしの認知症の高齢女性が、昼夜を問わず、マンション内外を歩き回り、あちこちで失禁してしまうのだ。あるときは他家のメールボックスから郵便物を抜きとって大騒ぎになった。
深夜、街に出てオートロックの玄関に締め出され、寒い公園で夜を明かしたこともある。朝、散歩していた人が見つけて送り届けてくれたが、女性は肺炎を起こしていた。一つ間違えれば命が危うかった。管理費と修繕積立金の滞納も続いている。
女性は「緊急連絡先」を管理組合に届けていない。親族がいるのか、天涯孤独なのか、それすらわからない。管理組合の理事たちは、額を寄せて相談していた。
「地域包括ケアセンターに相談して、早く、介護施設に移ってもらわないと。このまま認知症が進んだら、どうなるか、想像もつかないですよ」
「じつは民生委員の協力で、地域包括のケアマネージャーに相談したんだけど、抱えている要介護者のおせわで手いっぱい、とても余裕がないと突っぱねられました」
「マンション住民が見守るにしても、そもそも彼女が認知症だと他の人に知らせていいんですか。個人情報、プライバシーの問題があるでしょ」
「見守ると簡単におっしゃいますけどね、認知症の人は声の掛け方ひとつとっても大変ですよ。後ろから呼び止めたりしたら本人がびっくりしてパニックになります。認知症の人が『カラスは白い』と言っても否定したらダメ。カラスは白いねって答えなきゃ。そういう接し方、私たちにできると思いますか」
「精神科の病院に入院してもらうのがいいと思うけどなぁ」
「それこそ人権侵害でしょ。あの人、ベッドに拘束されますよ。まだ家で生活できています」
「だけど、いろいろトラブルが起きていて、どう対応するんですか」
話は堂々めぐりをするばかり。この問題を住民総会に諮るのか、事情を知っている理事の間にとどめておくのか、プライバシー保護も絡んで結論は出なかった。
マンションで認知症の住人とどう向き合うか――前述の通り、認知症患者の激増が予想されるなかで、今後、同様の問題に頭を悩ませるマンションは確実に増えていくと考えられる。そのとき、マンションの他の住人たちも「私は関係ない」では済まされない。現実的なことを言えば、マンションの資産価値にも影響を与えてくるだろう。
700人以上が行方不明
警察庁の発表では、2018年の1年間に警察に届け出があった認知症の行方不明者数は1万6927人(男性9274人、女性7653人)。’18年中に所在が確認されたのは、’17年以前の届け出分を含めて1万6227人。700人以上の足どりがつかめず、行方不明のままだ。
その他に路上や用水路で倒れているなどして死亡が確認されたのは508人、届け出の取り下げなどが131人。認知症による行方不明者数は、毎年、増え続けている。
’18年の認知症での行方不明者数を、都道府県別にみると、大阪が最多で2117人、埼玉1782人、兵庫1585人と続く。セーフティネットの脆さが浮かび上がる。
杉山院長は、認知症特有の病状の進行を、次のように述べた。
「認知症の人は、いい状態の山と悪い状態の谷をくり返しながら総合的な体力が衰えていきます。そのスピードが非認知症の人よりも速い。最初は体力もあって、どんどん徘徊して動き回る。
だけど、次第に活動範囲が狭まる。歩きまわって道に迷うと恐怖を感じる。歩く範囲が町内から家の周辺に狭まり、それもできなくなって家のなか。さらに弱って家から出なくなり、立つ力が衰えてベッドとそのまわり。やがてベッドの上だけへと変化します。その段階に応じて介護状況も変わります」
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12/21(土) 9:01配信 現代ビジネス
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