1 :2019/10/16(水) 13:59:09.31 ID:O6pkeaQH9.net
台風19号により秋山川の堤防が決壊し、多くの家屋に浸水被害が出た栃木県佐野市では、イチゴ農家も打撃を受けた。
県産イチゴの主力産品「とちおとめ」の苗も水没した。生産農家は必死に洗浄などを行っているが、本格的なシーズンを前に、
出荷にこぎつけられるか不安を抱えている。
栃木県はイチゴの収穫量が51年連続で日本一を誇る。中でもとちおとめは鮮やかな赤と大きく甘いのが魅力で、根強い人気がある。
クリスマスケーキなどの需要もあり、11月から本格的なシーズンを迎える。
同市庚申塚町でとちおとめを育てる谷藤幸さん(53)は台風が通過した後の13日朝、目の前に広がる光景に絶句した。
一面が水に覆われ、「海のようになっていた」。水位は約1.7メートル。気温が高かったため、苗は温水に長時間漬かる状態になった。
白い花が付き始め、1カ月ほどで収穫できるところまできていた。谷さん一家は、ハウス内に流れ込んで頑固にこびり付いた
泥を洗い流す作業を続けている。
その後消毒も行い、何とか出荷につなげたいというが、「本当に収穫できるのか」と心配する。
家族からは「ご飯が喉を通らない」と悲痛な声も上がる。
同市船津川町で乳牛を飼育する亀田源次さん(70)の牛舎では、水位が約1メートルに達した。乳牛約45頭は丸1日以上泥水に漬かった。
幸い死んだ牛はいなかったが、エサも食べられず、泥水を飲んで生き延びたという。
牛たちは衰弱し、乳質が悪化したため、1トン以上の牛乳を廃棄した。飼料の牧草も多くが水に漬かって駄目になり、機械の故障も出た。
亀田さんは「牛の命も人命と同じ。1頭も死ななくて本当に良かった。体調がしっかり回復してくれればいいが…」と不安そうに語った。
泥をかぶったイチゴ「とちおとめ」。ビニールハウス上部には水没したときの泥の跡が残る=15日、栃木県佐野市
栃木県佐野市船津川町で酪農を営む亀田源次さんの牛舎。台風19号で大きな被害を受けた=15日