1:yomiφ ★ 2016/11/08(火) 23:36:44.19 ID:CAP_USER.net
■若手アニメーターが感じている不安
このタイミングで僕が発言することに消極的な意見もありましたが、今までP.A.WORKSの考えを意図的にオープンにしてきた者として、今回考えたことも記録しておこうと思います。
スタッフ個人のことは双方の合意が必要だと考えるので、発表されたこと以上のことには触れません。
春から研修を始めて半年で動画500枚を達成するような、かなり有望な若手が感じていたことについて、今回は周りの人間は気づくことができませんでした。
そのことに対して、P.A.WORKSはこれからどう取り組んでいくかを考えて、先日本社のスタッフと話す機会を設けました。少し長いので整理して、その具体的な内容をブログに記録しておきます。
また、従来の弊社のやり方において改める必要があることについては、真摯にこれを受け止め、できるだけ早く改善をしていこうと思います。
アニメーターの仕事がどんなもので、プロの職人を目指すことがどれくらい大変なものかを、今では様々な情報で知ることが出来るようになりました。
若手のみなさんは、独立したプロのアニメーター、クリエイターとして生計を成り立たせるのは大変なことだということを覚悟してこの道を選んだと思います。
それでも、実際に仕事を始めてみると予想以上だったということもあると思います。将来に不安を感じることもあるでしょう。
みなさんの報酬は制作会社に入る作品の制作費から支払われます。クリエイターに支払う対価報酬の問題は、直に制作費の問題になります。
昨今のアニメーションビジネスの市場のことを考えると、僕らが「制作費を上げて欲しい」と個々に叫ぶよりも、新しいビジネスモデルを創る必要があると僕は考えています。
アニメーターが情熱と多くの時間を注いで描いたものが、なかなかその対価に見合うお金に変わらないのと同様、大勢の制作関係者が情熱と膨大な時間を注いで発表したアニメーション作品で、 そこにかかる制作費を回収することが今は難しくなっています。制作会社やメーカー等、業界関係者全体がその現状を変えようと努力しています。
今のみなさんとの契約条件がP.A.WORKSでは昔からずっと同じだったわけではなく、少しずつ改善されてきました。先人が長年真摯に仕事に取り組んでくれたので、P.A.WORKSの作品が評価されるようになったことで可能になりました。
例えば年間の作画契約金や、現在行われている3か月毎の原画の評価です。数や技能の向上に応じた段階的単価の向上など、付加価値を報酬に反映することにしています。
動画マンは、以前は原画試験に受からないと当社と引き続きアニメーターとして契約する選択肢はありませんでした。新社屋に移転する前は、会社が準備できる作業場のスペースを広げることが厳しかったからです。
ここ数年は、本人の希望と適性に応じて作画以外のセクション、例えば動画検査やデザイン設計の担当を勧めたり、続けて動画マンとして当社と契約する選択肢も増やしました。別事業への移籍という前例もあります。
先人の貢献による改善の恩恵を、若手が少しずつ受けられるようになりました。こうした改善を実際に積み重ねてくることが出来たということは、これからにも言えることです。必要以上に不安を抱えず、希望を持って取り組んで欲しいと思います。
P.A.WORKSのスタッフがまだ数人のときには、狭い部屋で家族的な繋がりの会社でした。誰がどんな不安を抱えて悩んでいるかも、見ていればすぐに解りました。いっしょに飯を食べる機会も多かったので、よく話しをしてくれたし直接訊くこともできました。
本社で作業するスタッフの人数が増え、会社自体も色んな組織ができたことで、この関係を続けることは難しくなりました。カンファレンスやミーティング、部活動など、スタッフ同士で交流する機会はあると思うけれど、現在はあまり上手く機能していないのかもしれません。
今回のことで、僕も、作業現場の責任者も、何が足りなくて、早急に何に着手すべきかを改めて意識することになりました。現場で取り組んでいることも、今までよりももっと具体的な達成目標に置き換えることを、 スタッフ個々人との話し合いで検討してみようと思います。自分たちの努力の成果が、小さなことからでも見える形での成功体験になることで、若手の不安は軽減できるのではないかと考えています。
(抜粋。全文はソースにて)
http://www.yetyou.jp/
P.A.WORKS新社屋
このタイミングで僕が発言することに消極的な意見もありましたが、今までP.A.WORKSの考えを意図的にオープンにしてきた者として、今回考えたことも記録しておこうと思います。
スタッフ個人のことは双方の合意が必要だと考えるので、発表されたこと以上のことには触れません。
春から研修を始めて半年で動画500枚を達成するような、かなり有望な若手が感じていたことについて、今回は周りの人間は気づくことができませんでした。
そのことに対して、P.A.WORKSはこれからどう取り組んでいくかを考えて、先日本社のスタッフと話す機会を設けました。少し長いので整理して、その具体的な内容をブログに記録しておきます。
また、従来の弊社のやり方において改める必要があることについては、真摯にこれを受け止め、できるだけ早く改善をしていこうと思います。
アニメーターの仕事がどんなもので、プロの職人を目指すことがどれくらい大変なものかを、今では様々な情報で知ることが出来るようになりました。
若手のみなさんは、独立したプロのアニメーター、クリエイターとして生計を成り立たせるのは大変なことだということを覚悟してこの道を選んだと思います。
それでも、実際に仕事を始めてみると予想以上だったということもあると思います。将来に不安を感じることもあるでしょう。
みなさんの報酬は制作会社に入る作品の制作費から支払われます。クリエイターに支払う対価報酬の問題は、直に制作費の問題になります。
昨今のアニメーションビジネスの市場のことを考えると、僕らが「制作費を上げて欲しい」と個々に叫ぶよりも、新しいビジネスモデルを創る必要があると僕は考えています。
アニメーターが情熱と多くの時間を注いで描いたものが、なかなかその対価に見合うお金に変わらないのと同様、大勢の制作関係者が情熱と膨大な時間を注いで発表したアニメーション作品で、 そこにかかる制作費を回収することが今は難しくなっています。制作会社やメーカー等、業界関係者全体がその現状を変えようと努力しています。
今のみなさんとの契約条件がP.A.WORKSでは昔からずっと同じだったわけではなく、少しずつ改善されてきました。先人が長年真摯に仕事に取り組んでくれたので、P.A.WORKSの作品が評価されるようになったことで可能になりました。
例えば年間の作画契約金や、現在行われている3か月毎の原画の評価です。数や技能の向上に応じた段階的単価の向上など、付加価値を報酬に反映することにしています。
動画マンは、以前は原画試験に受からないと当社と引き続きアニメーターとして契約する選択肢はありませんでした。新社屋に移転する前は、会社が準備できる作業場のスペースを広げることが厳しかったからです。
ここ数年は、本人の希望と適性に応じて作画以外のセクション、例えば動画検査やデザイン設計の担当を勧めたり、続けて動画マンとして当社と契約する選択肢も増やしました。別事業への移籍という前例もあります。
先人の貢献による改善の恩恵を、若手が少しずつ受けられるようになりました。こうした改善を実際に積み重ねてくることが出来たということは、これからにも言えることです。必要以上に不安を抱えず、希望を持って取り組んで欲しいと思います。
P.A.WORKSのスタッフがまだ数人のときには、狭い部屋で家族的な繋がりの会社でした。誰がどんな不安を抱えて悩んでいるかも、見ていればすぐに解りました。いっしょに飯を食べる機会も多かったので、よく話しをしてくれたし直接訊くこともできました。
本社で作業するスタッフの人数が増え、会社自体も色んな組織ができたことで、この関係を続けることは難しくなりました。カンファレンスやミーティング、部活動など、スタッフ同士で交流する機会はあると思うけれど、現在はあまり上手く機能していないのかもしれません。
今回のことで、僕も、作業現場の責任者も、何が足りなくて、早急に何に着手すべきかを改めて意識することになりました。現場で取り組んでいることも、今までよりももっと具体的な達成目標に置き換えることを、 スタッフ個々人との話し合いで検討してみようと思います。自分たちの努力の成果が、小さなことからでも見える形での成功体験になることで、若手の不安は軽減できるのではないかと考えています。
(抜粋。全文はソースにて)
http://www.yetyou.jp/
P.A.WORKS新社屋