1 :2024/08/23(金) 22:29:49.60 ID:PjT7cNeR9.net
アルコールは、実際に飲酒する人よりも、飲んでいない人に大きな害を与える可能性があることが、学術誌『Addiction』に掲載されたニュージーランドの研究で示された。
研究チームは、ニュージーランドの入院記録と調査データからアルコール関連の障害や早死によって失われた健康寿命の年数を推定した。
研究によると、ニュージーランドでは2018年に、アルコールが原因で7万8277年分もの健康寿命が失われた。
このうち90%以上が胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)によるもので、6.3%が交通事故、3.4%が暴力によるものだった。
注目すべきは、実際にアルコールを飲んだ人よりも、飲んでいない人の健康寿命が1万8000年分多く失われた点だ。
アルコールに関する研究の大半は主に飲酒した人への悪影響についてだが、前述の研究は、
飲酒しない人であっても飲酒者から直接または間接的にアルコールの有害な影響を受けることを浮き彫りにしている。
アルコール摂取で健康を害することはよく知られており、これだけなら安全という量はない。
米公衆衛生協会は、アルコールには健康上の利点はないと指摘している。
米疾病予防管理センター(CDC)によると、飲酒は高血圧、心臓病、肝臓病、免疫力の低下、うつ病や不安症などの精神疾患につながる可能性がある。
また乳房や口腔、結腸、肝臓、直腸などさまざまな部位のがんとも関連している。
アルコールが飲酒者に及ぼす影響よりも、飲酒していない人に及ぼす影響の方が深刻な場合もある。
前述の研究では、健康寿命の大半がFASDによって失われている。
同障害は母体にいる赤ちゃんが母親の飲酒でアルコールにさらされて起こるものだ。
FASDの症状は、その子どもは出生時の頭は小さく、身長が平均より低く、体重も少ない。
また、記憶力や協調性に乏しく、注意力に欠け、言語能力の発達に遅れがみられることがある。
加えて視力や聴力、心臓や腎臓にも問題を抱えることがある。
現在のところ治療法はないため、FASDを持って生まれた人は生涯この病気と付き合っていくことになる。
米小児科学会は、米国では毎年4万人がFASDを持って生まれてくると推定しており、これらはすべて禁酒によって完全に防ぐことができたはずだ。
アルコールを原因とする交通事故もまた、生命を大きく脅かしている。
米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)によると、米国では毎日37人が飲酒運転による事故で死亡している。
アルコールが飲酒しない人にもたらす破壊的な影響には暴力もある。
性的暴行や親密なパートナーからの暴力、殺人、自殺などだ。
アメリカン・アディクション・センターによると、米国では毎年推定8万8000人が飲酒関連の暴力で命を落としている。
アルコールは文字どおり社会に壊滅的な影響を与えており、米国では依然として予防可能な死因の最たるものだ。
当人だけでなく、周囲の人にとっても、有益なアルコール摂取量というものはない。
アルコールが個人と社会の両方に及ぼす公衆衛生上の影響を考えると、世界中で毎年300万人の命を奪っているアルコールとの関係を見直す時期に来ているのかもしれない。