1 :2023/11/06(月) 23:13:32.05 ID:0daPJeqn9.net
東京新聞
農業協同組合(JA)の共済事業の営業ノルマを稼ぐため、現役職員が、顧客に不利な契約変更を勧めていたことを証言した。多用した手法は、これまで払った既存契約の掛け金を下取りに出し、新たな契約に変える「転換契約」。契約途中で保障内容を見直す仕組みだが、悪質な場合は保障内容が大差ないのに、総支払額が増える。
転換契約 共済(保険)の保障内容を見直すため、旧共済の積み立て分を掛け金に充てるなどして新たな共済に入る制度。旧共済の解約返戻金を使って新たな共済に入るケースは転換ではなく、「解約新規」と呼ばれる。いずれも契約者への意向確認と十分な情報提供が求められる。金融サービス提供法では共済を含む金融商品を販売する際、顧客の知識や経験、財産状況や商品の購入目的に照らして適切な説明を行うよう求めている。
◆5年ごとに転換「30万~40万円損したはず」
「ほとんどの職員がやっていた。5年ごとに転換を繰り返せば、お客さんは30万~40万円は損したはず」。数年前までノルマ達成のため転換契約を顧客に頼んでいた兵庫県内の職員はこう明かす。
具体的な方法の一例はこうだ。死亡時などに支払われる終身共済と、入院・手術時に支払われる医療共済の二つを契約している人に対し、終身共済の医療セット契約の一本化という形での転換を勧める。別々に転換させるよりも手続きは半分で済む。最初の加入から10年後に転換させると、総支払額は転換させない場合より34万円増える計算になった。これまで契約していた医療共済が掛け捨て中心で、変更時の下取り額が少ないためだ。
新規契約を取るのが困難な中、職員は「既契約をさわる方が簡単なんです」という。金利が下落している中で、転換契約をさせると、掛け金の支払い増につながる予定利率も下げることが一般的に可能なので、共済側には収益改善のメリットがある。顧客への不利な契約変更については、この職員以外にも、複数の現職とOBらが行ったと本紙に打ち明けている。
◆「命令は絶対」ビッグモーターと同じ
「顧客のためにならない」と分かりながら、職員を追い込んだのがノルマ達成への圧力だ。約3カ月ごとに地域の統括店に呼び出されると「いつまでに達成するんや」などと管理職から厳しく問い詰められた。「上からの命令は絶対という感覚で、ビッグモーターと同じ」。本来必要のない共済に自腹で入る自爆営業の支払いは年間65万円ほどに上っていたが、それでもノルマに届かず、以前からの顧客に転換契約を勧めるようになっていた。
顧客からは「何回見直すねん」「(転換契約を繰り返すことで)いつまでたっても満期が来ない」などと言われた。職員は「(ノルマ達成のために)思考回路が完全におかしくなっていた」と悔いる。