1 :2023/08/17(木) 00:17:40.04 ID:xd96mx519.net
HUB沖縄
1993年に創設されたJリーグが、今年で30周年を迎えた。クラブ数は当初の「10」から、現在はJ1~J3を合わせて「60」に増加。南は沖縄、北は北海道まで全国約40の都道府県にチームが存在し、一つのプロスポーツ文化として日本に定着したと言っていいだろう。
一方で、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の9月開幕への移行や選手のパフォーマンス向上などを理由に、シーズンの期間を現行の2月開幕の「春秋制」から、夏場を避けて8月ごろに開幕する「秋春制」へ移行するか否かの議論が再燃していることや、リーグのライセンス付与や集客力に直結する「スタジアム問題」が各地で散見されるなど課題もある。
今後、競技レベル、ビジネスの両面でリーグをさらに発展させていくためには、どのような理念や取り組みが必要なのか。2022年に第6代チェアマンに就任した野々村芳和氏が8月11日、沖縄へ来県中に那覇市内でインタビューに応じた。
世界のサッカー界でどう共存するか
ー来県の目的は。
「去年から全クラブを回っていて、クラブの関係者やサポーター、スポンサーと現地で会い、現状の課題を聞いていました。今年は特にメディア回りをしています。Jリーグは60のクラブがどう地域で輝くかということを最大のテーマとしているので、メディアの皆さんに改めてJリーグの現状や取り組みを説明し、それと合わせて地元チームの露出もお願いしています」
ーチェアマン自身が訪問する意義は。
「シーズンの期間移行の議論も東京から発信しているつもりではあったのですが、ローカルに行ってメディアの方と話すと、正確な情報をしっかりと届けられていないということが感覚として伝わってきたんです。やっぱり直接地域に行って、メディアの人たちと話をすることが大事だなと思ったので、各県を回っています」
(略)
いかにいい“週末の作品”を作れるか重要
ービジネス面での展望は。
「日本人選手の力を上げてJリーグのレベルを上げていかないと能力の高い選手は来ないので、まずはフットボールファーストで考える方がいいと思います。その上でビジネス的にさらに伸びていくためには、国内にいろんなエンターテインメントがある中で、60のクラブが各地域でもっと圧倒的な存在になっていくことが必要です。そこから世界と戦えるようなトップクラブが出てくると、次は外貨をどう獲得するかというところにもつながっていく。60クラブを輝かせることと、ナショナルコンテンツになるようなクラブを作るという二つのテーマを持って進めていきたいです」
ー沖縄では野球やバスケットボールの熱が強いが、FC琉球がさらに人気を伸ばすためには何が必要か。
「サッカークラブは地域の人でつくるものだと思います。サッカー、バスケ、野球、ショッピングなど、エンターテインメントのショーウィンドウに上げる前に、強かろうが弱かろうが、チームに関わると楽しいと思う人がどれだけ集まるかが大事です。普段から『自分たちがあのチームを作ってるんだ』とか『自分たちが勝たせたんだ』と思ってもらえるクラブになることです。そういうサッカーの楽しみ方をどれだけ伝えられるかがポイントです」
ー確かにJ2、J3でも集客力の高いチームは存在する。
「サッカーの試合はクラブ、サポーター、選手が一緒に作った週末の良い“作品”をファンの人が見に来る。そして『そこにいて楽しい』『あの中に入りたい』と思ったファンの人が、今度はサポーターに変わっていく。つまり、ファンの人にいかにいい作品を見せられるかが重要なんです。そのためには、小さなものでもいいから、満員感のあるサッカー専用スタジアムがサポーターの熱気で溢れてるという状況をつくることが一番いいと思います」
ー沖縄ではスタジアム計画が進んでいない。
「例えば5000人が集まったとして、その中にいる一人の観客からすると、他の4999人は見る対象になりますが、それが美しく見えるかどうかはスタジアムと陸上競技場では全然違います。陸上競技場で15000人を集めたとしても、観客席がバラバラなところに設置されていたら、その人に熱量も伝わりにくいですよね。でもサッカースタジアムはピッチを囲むように客席があり、サッカー観戦専用なのでそれぞれの席からもピッチが見やすく、臨場感がある。ピッチにまで熱量が伝わると、選手は自分の限界を超えられるんです。沖縄にも、絶対にサッカー専用スタジアムは必要です」