1 :2023/07/10(月) 08:21:01.30 ID:oJjjibB99.net
梅雨が続き、湿気や暑さで寝苦しい夜が増えてきた。そんななか、自分の睡眠を見直す人が出ている。日本人は諸外国に比べて睡眠時間が少ないとされ、安眠効果を促す商品に人気が広がっている。現代社会における「快眠のすすめ」とは。 (中山岳)
◆突然の不眠、収入も減り…
「ある日突然、眠れなくなった。自分でも理由が分からず驚いた」。横浜市のフリーライターいしかわゆきさんは、2020年春に不眠症になった経験をこう話す。当時は新型コロナウイルスの流行が始まり、4月に東京や神奈川など7都府県に初の緊急事態宣言が出た。外出自粛の日々が続くなか、夜にベッドに入っても寝付けなくなった。
何とかしようと、生活習慣を見直してみた。昼間に散歩し、寝る前はスマートフォンを見ないようにして本を読むように。良い香りでリラックスするという入浴剤も試した。
それでも、眠れない日々が続いた。日中に倦怠けんたい感が強まり、働ける時間が1日4時間ほどに減った。「だるくて何もできなくなる日も出てきた」。月収は40万円から13万円ほどに落ちた。
医療機関の睡眠外来に相談。睡眠導入剤を処方されたが、「くせになりそうで飲まなかった」という。その代わり、寝具にこだわるようになった。枕はオーダーメードや通気性のよい製品など複数を試した。パジャマも変え、ベッドのマットレスも買い替えた。試行錯誤を3、4カ月間続け、少しずつ眠れるように。不眠の原因はコロナ禍の不安もあったかもしれないが、今もよく分からない。
◆「昼間にちょっと眠いのが人生」は違った(略)
◆日本人は睡眠不足(略)
◆短時間睡眠が続くとメタボ、メンタル不調
そもそも、人はなぜ眠るのか。
筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授(基礎生物学)は「全ての生物に睡眠は必要と言えるものの、それがなぜかは今も解明されていない。睡眠学のビッグ・クエスチョンなんです」と語る。一方、睡眠の効能は明らかとし「学習などの記憶が整理され、スポーツや楽器演奏といった技能の定着にもつながることが分かってきた」。
また、1日の睡眠が4~6時間ほどの生活を続けると、多くの人で脳のパフォーマンスが低下。長期的にはメタボリック症候群、メンタル不調、感染症などにかかりやすくなるという。
国際的に見ても、日本人は睡眠時間が短い。経済協力開発機構(OECD)の21年調査によると、日本人の平均睡眠時間(7時間22分)は33カ国中で最下位だった。
◆「寝る間も惜しんで」はナンセンス
柳沢氏は、国際的に平均睡眠時間と国内総生産(GDP)の関係を調べた別の調査結果も挙げ、「分かりやすく言えば、リッチな国ほど国民はよく寝ている。日本では『寝る間も惜しんで働く』との考えがいまだにあるが、ナンセンスだ」と指摘。「一番大事なのは、睡眠量。質を上げようといろいろ工夫しても、そもそも時間が足りなければ効果は望めない。まずはいつもより30分早く寝る生活を続け、体調の変化を確認してほしい」と説く。
医療ジャーナリストの市川衛まもる氏は「日本人の睡眠時間が短い理由の一つに、長時間労働が指摘される。労働時間があまりに長くなると、食事や家事の時間を削るにも限界があり、睡眠時間を短くするしかなくなるからだ」と話す。
長時間労働を巡っては15年、広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が自殺したのをきっかけに、見直しが進んだ。市川氏は、近年の働き方改革と併せて睡眠を見直す動きも広がりつつあるとみる。「寝ずに働くのを美徳とする意識から、しっかり休息を取って日中に働く意識へと転換してきた」
それでも、働き盛りの世代を中心に睡眠を十分に取れていない人はまだ多く、改革は道半ばだ。どうすればいいのか。
市川氏は、終業後、次に働き始めるまで一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」の普及がカギになるという。「特に看護師ら医療関係者や工場勤務者など、交代制の職種に広まれば効果は大きい」と述べる。ただ、業務量や労務管理のあり方を見直さないまま取り入れても、現場で仕事が回らなくなる恐れがあるとし、「業務見直しや労務管理の効率化はデジタルトランスフォーメーション(DX)が有効だ。国と企業はこうした技術の導入を進め、睡眠不足の人を減らす環境づくりに知恵を絞ってほしい」と強調した。
◆デスクメモ(略)
◆突然の不眠、収入も減り…
「ある日突然、眠れなくなった。自分でも理由が分からず驚いた」。横浜市のフリーライターいしかわゆきさんは、2020年春に不眠症になった経験をこう話す。当時は新型コロナウイルスの流行が始まり、4月に東京や神奈川など7都府県に初の緊急事態宣言が出た。外出自粛の日々が続くなか、夜にベッドに入っても寝付けなくなった。
何とかしようと、生活習慣を見直してみた。昼間に散歩し、寝る前はスマートフォンを見ないようにして本を読むように。良い香りでリラックスするという入浴剤も試した。
それでも、眠れない日々が続いた。日中に倦怠けんたい感が強まり、働ける時間が1日4時間ほどに減った。「だるくて何もできなくなる日も出てきた」。月収は40万円から13万円ほどに落ちた。
医療機関の睡眠外来に相談。睡眠導入剤を処方されたが、「くせになりそうで飲まなかった」という。その代わり、寝具にこだわるようになった。枕はオーダーメードや通気性のよい製品など複数を試した。パジャマも変え、ベッドのマットレスも買い替えた。試行錯誤を3、4カ月間続け、少しずつ眠れるように。不眠の原因はコロナ禍の不安もあったかもしれないが、今もよく分からない。
◆「昼間にちょっと眠いのが人生」は違った(略)
◆日本人は睡眠不足(略)
◆短時間睡眠が続くとメタボ、メンタル不調
そもそも、人はなぜ眠るのか。
筑波大国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授(基礎生物学)は「全ての生物に睡眠は必要と言えるものの、それがなぜかは今も解明されていない。睡眠学のビッグ・クエスチョンなんです」と語る。一方、睡眠の効能は明らかとし「学習などの記憶が整理され、スポーツや楽器演奏といった技能の定着にもつながることが分かってきた」。
また、1日の睡眠が4~6時間ほどの生活を続けると、多くの人で脳のパフォーマンスが低下。長期的にはメタボリック症候群、メンタル不調、感染症などにかかりやすくなるという。
国際的に見ても、日本人は睡眠時間が短い。経済協力開発機構(OECD)の21年調査によると、日本人の平均睡眠時間(7時間22分)は33カ国中で最下位だった。
◆「寝る間も惜しんで」はナンセンス
柳沢氏は、国際的に平均睡眠時間と国内総生産(GDP)の関係を調べた別の調査結果も挙げ、「分かりやすく言えば、リッチな国ほど国民はよく寝ている。日本では『寝る間も惜しんで働く』との考えがいまだにあるが、ナンセンスだ」と指摘。「一番大事なのは、睡眠量。質を上げようといろいろ工夫しても、そもそも時間が足りなければ効果は望めない。まずはいつもより30分早く寝る生活を続け、体調の変化を確認してほしい」と説く。
医療ジャーナリストの市川衛まもる氏は「日本人の睡眠時間が短い理由の一つに、長時間労働が指摘される。労働時間があまりに長くなると、食事や家事の時間を削るにも限界があり、睡眠時間を短くするしかなくなるからだ」と話す。
長時間労働を巡っては15年、広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が自殺したのをきっかけに、見直しが進んだ。市川氏は、近年の働き方改革と併せて睡眠を見直す動きも広がりつつあるとみる。「寝ずに働くのを美徳とする意識から、しっかり休息を取って日中に働く意識へと転換してきた」
それでも、働き盛りの世代を中心に睡眠を十分に取れていない人はまだ多く、改革は道半ばだ。どうすればいいのか。
市川氏は、終業後、次に働き始めるまで一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」の普及がカギになるという。「特に看護師ら医療関係者や工場勤務者など、交代制の職種に広まれば効果は大きい」と述べる。ただ、業務量や労務管理のあり方を見直さないまま取り入れても、現場で仕事が回らなくなる恐れがあるとし、「業務見直しや労務管理の効率化はデジタルトランスフォーメーション(DX)が有効だ。国と企業はこうした技術の導入を進め、睡眠不足の人を減らす環境づくりに知恵を絞ってほしい」と強調した。
◆デスクメモ(略)
東京新聞 2023年7月10日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/261792