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スカート、パンプス…就活での「らしさ」なぜ強要するの?性別を押しつけないで3万3000人署名

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1 :2023/05/28(日) 06:56:19.94 ID:4cLHR9bA9.net

 女性は膝丈のスカート、男性は黒髪短髪に―。就職活動をする学生に、男女二元論に基づいたそんなアドバイスが指南本やスーツ会社の宣伝文句の中であふれる。そうした服装やマナーに違和感を抱く人はどうすればいいのか。就活時に「女(男)らしさ」を求めることは、性の多様性に反し差別的だとして、就活体験者らでつくる団体が、大学や企業などに「押し付けはやめて」「多様性の尊重を」と訴える。6月1日から企業による面接などの選考活動が解禁され、就活が本格化する。(榎本哲也)
◆強制ではない?就活中の学生は「逆らえない」
 就活で性別にひも付けたマナーの押し付けを問題視するのが、市民団体「#就活セクシズム 署名チーム」だ。「セクシズム」は「性差別」を意味する英語だが、団体は「女(男)らしく」など、性別に基づいて固定観念を押し付けたり、差別をしたりする態度という意味で使っている。
 代表の水野優望ゆみさん(33)=愛知県在住=は、女性、男性ではなく、一人の人間として見られたいと考える「Xジェンダー」。大学時代の就活でストッキングにヒール付きパンプスといった「女らしさ」を押し付けられることに強い違和感を覚え、心身の調子を崩し就活を断念した経験を持つ。
 「マナー規範は強制ではないと反論する人もいるが、就活中の学生は弱い立場で、逆らえない」。大学も普段は多様性を尊重するのに、就活となると「就職率を気にして学生を守ってくれない」という。
◆マナー講師「パンツスタイルで問題ない」
 団体のメンバーで、大学や企業での研修を手がけるマナー講師の篠原匡朱子まさこさんは「就活の服装やマナーに戸惑いを隠せない、という学生は多い。女性として生活していても、パンツスタイルを通している人はいる。就活でもそれで問題ないと伝えている。規範を押しつける世の中は変わってほしい」という。
 状況を改善しようと、団体は学生のジェンダー・アイデンティティー(性自認)の尊重、就活指南の是正などを求め、4月には、文部科学省に署名約3万3000人分を提出。署名はこれまでに、就活サイト運営会社やスーツ販売大手、大学生協事業連合などにも出した。インターネット署名は現在も続けている。
 水野さんは、この10年間で就活を巡る状況は「全然変わっていない」と感じている。最近、母校を訪れた時、就活スーツなどの掲示物を見た。「こんなに変わっていないのかという落胆と怒りを覚えた。だから署名活動を始めた」と話している。

◆多様性を尊重する企業も
 就活生らのジェンダー・アイデンティティーを尊重する企業もある。
 動画配信のUーNEXT(ネクスト)などを傘下に持つ「USEN(ユーセン)?NEXT HOLDINGS(ホールディングス)」(東京都品川区)は、「就活維新」をコンセプトに掲げ、「エントリー時に性別の記載は不要」「面接の服装は自由」などの取り組みをしている。
 広報部の担当者は「旧態依然とした就活生らしさの強要や、個性や多様性尊重の阻害となる古い因習の踏襲などへのアンチテーゼとして『就活維新』を掲げている。入社後、どの職種でも性別にかかわらず社員が活躍しており、性別は合否に影響しない」と言う。
◆メンズパターンにニーズ
 また、オーダースーツブランド「FABRIC(ファブリック) TOKYO」(渋谷区)は、全ての性別の人にメンズパターンのスーツを提供。就活中の女性からの相談、注文もあるという。
 広報チームの八鍬やくわ真佐美さんによると、2019年に女性から「友人の結婚式に男性用のスーツで参加したい」と注文されたのを契機に、20年8月まで期間限定で提供を開始。体のラインが強調されがちな女性向けの服を望まない女性や、メンズスーツを着たいトランスジェンダーの人らのニーズがあり、21年夏、渋谷に常設の「オールジェンダーストア」をオープンした。
 文部科学省が事務局を務め、全国の大学などでつくる「就職問題懇談会」は4月、就活に関する企業への要望を経団連などに提出。文科省学生支援課によると、性差別には直接言及していないが、採用に当たり「学生が持つ多様性を尊重する」ことなどを求めている。

東京新聞 2023年5月28日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/252852