1 :2023/05/08(月) 01:43:16.16 ID:CVsJ7FM09.net
アルコール依存症の専門治療を行う久里浜医療センターの副院長である木村充氏に、アルコール依存症とその治療の最新情報について聞いた
酒ジャーナリストの葉石かおりさん。アルコール依存症の治療には、「認知行動療法」などのメンタル面からのアプローチがあります。
それを応用すると、「お酒を減らしたいのに、減らせない」という人が行動を変えるきっかけになるかもしれません。
「もしかしたら、自分はアルコール依存症ではないだろうか?」
毎日のように多くの酒を飲む酒飲みであれば、そんなことを誰もが一度は思ったことがあるはず。もちろん、筆者もである。それも、数えきれないほど。
飲む量が調整できず、つい「もう1杯!」と手が伸びてしまい、気がつくと飲み過ぎている。
翌朝、二日酔いで胃がもたれ、頭がガンガン痛むのに、夜になると本調子ではないまま飲み会に行ってしまう。毎晩、記憶がなくなるまで飲んでしまう……。
こんな経験を重ねるたびに、自分はアルコール依存症ではないか、という思いが頭をよぎる酒飲みは、少なくないはずだ。
前回、アルコール依存症の専門治療を行う久里浜医療センター副院長の木村充氏に、アルコール依存症の診断基準や、
その治療などの最新情報について話を伺った。最近は、「減酒外来」を設置する病院が増え、多くの30~40代が訪れるという。
アルコール依存症の治療といえば、かつては「断酒」が基本だったが、今は「減酒」という選択肢がある。
この減酒外来の敷居が低いことを知ったのは、大きな収穫だった。
医師のお世話にならずに済むならそれが一番だが、どうしても思うように酒量がコントロールできないときは、1人で悩まず減酒外来を受診すればいい。
そう思うと安心できる。
ただ一方で、「妻に先立たれた男性はアルコール依存症のリスクが高い」とも教えてもらった。
自分の周囲の環境が大きく変化するタイミングで、喪失感や不安感などから、あっという間にアルコール依存症になってしまうことがあるのだ。
それは、コロナ禍で失職した若い女性の間にアルコール依存症が広がり、社会問題化したことからも分かる。
筆者自身、コロナ禍に失職の不安と焦燥感から酒量が増え、アルコール依存症になりかけた。
このように、アルコール依存症はメンタル面の問題が非常に大きい。そのため、治療においては、メンタル面からのアプローチも重要になってくる。
そこで今回は、引き続き木村氏に、アルコール依存症の心理・社会的な治療法について掘り下げて解説していただこう。
メンタル面の治療には、まだ依存症ではない人が、「やめたいけれども、やめられない」「減らしたいけれども、減らせない」という心理を克服するためのヒントもあるはずだ。
■「自分は依存症ではない」と思うのは認知の歪み?
先生、アルコール依存症のメンタル面における治療法には、大きく「認知行動療法」「動機付け面接法」「コーピングスキルトレーニング」という3つがあると前回聞きました。
それぞれどんなものでしょうか?
「まず、認知行動療法は、アルコール依存症をはじめとする依存症のほか、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などにも用いられている治療法です。
ここでいう認知とは、『起こった出来事について、自分がどう解釈するか』を指します。
アルコール依存症の方は、多くの場合、アルコールに対する認知の歪みがあるのです」(木村氏)
確かに、依存症と診断されていなくとも、酒飲みはつい、酒を中心に物事を考えたり、自分が飲む口実を無理やり探したりしてしまうので、
すでに認知は歪んでいるかもしれない……。
「例えば、『ストレスを解消するためにはお酒が必要だ』とか、『お酒がないと人付き合いができない』と思っている人は少なくないでしょう。
しかし、これらが強い思い込みとなり、飲酒行動に大きく影響するようになっている人には、認知の歪みがあると考えられます。
また、アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であると認めないことがほとんどです。これも認知の歪みですね」(木村氏)
自分の飲酒問題を過小評価したり、自分の飲酒行動を正当化するような認知パターンがあれば要注意だ。なんだか自分にも思い当たる節があるような……。
ではその問題となる認知パターンは、どうやって修正していくのだろう?
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