1 :2023/04/27(木) 18:55:33.39 ID:R6G1Kgnp9.net
2023年3月25日、東京にある東京ビッグサイトで開催された日本のアニメ業界最大のイベント、第10回アニメジャパンに参加した人たちが、コスプレ衣装で仮装して写真のポーズをとっている。(AFP)
日本アニメの人気ジャンルは逃避とセカンドチャンスを与えてくれる
https://www.arabnews.jp/article/arts-culture/article_90290/
東京:トラックに轢かれるファンタジーなど誰も気に入らないように思えるが、これは人気が急上昇している日本アニメの現実逃避主義の中心にあるアイデアだ。
「異世界」アニメは、キャラクターが新たな人生へと移されるさまざまなストーリー展開を包摂するジャンルだ。
ただし、異世界の1つの形式は、衝撃から始まる。時に敗者として描かれる苦闘する主人公が非業の死を遂げ、特殊な力を持つヒーローとして生まれ変わるという筋だ。
日本の内外で人気が高まっており、米国の専門ストリーミングサービスであるクランチロールは、『転生したらスライムだった件』などの作品を擁するこのジャンルに「大きな需要がある」と報告している。
「これらの作品は、世界的にパフォーマンスが非常に堅調だ」と、クランチロールのチーフ・コンテンツ・オフィサーである末平アサ氏がAFPに語った。
2021年に中国の動画プラットフォーム・ビリビリで最も視聴された日本アニメ上位10作品のうち5作品が異世界物だった。
このジャンルは非常に人気が高く、オンライン語彙ガイドのアーバン・ディクショナリーには「isekaied」という単語が登録されており、「トラックに轢かれて生まれ変わること」と定義されている。
専門家もファンも、このジャンルは、現代の生活で過小評価され、不満を感じている人たちの鬱積したフラストレーションをうまく吸い上げたものだと語っている。
従来のアニメ作品は、敵が待ち構える世界をヒーローが進んでいく展開になることが多かったが、異世界アニメでは、人生をやり直すチャンスに焦点が当てられている。
「異世界での一般的な心理傾向は、『自分が優れた存在になれる世界に移されたほうがましだ』というものだ」と、出版大手KADOKAWAの編集者ありまさとし氏がAFPに語った。
KADOKAWAは長年にわたって異世界がテーマのライトノベルを大量に出版しており、その多くが後にマンガやアニメの作品に着想を与えることになった。
現在の異世界ブームは2012年ごろに始まり、クランチロールからネットフリックスに至るプラットフォームの台頭もあって、現在のアニメファンの間で主流のジャンルになっている。
KADOKAWA小説の読者の中核は30代から40代にかけてのサラリーマンだ、とありま氏はいう。
日本社会に深く根付いている終身雇用制度に反発して、「自分のことをもっと認めてくれる仕事に転職したい」という夢を抱いているのかもしれないという。
「そのような人生が常に可能とは限らないため、この欲望を小説での体験を通じて満たしているのかもしれない」
しかし、この現実逃避は幅広い人気があり、かつては過小評価されていたヒロインが「自分の望むとおりの生き方をしている」姿に自分を重ね合わせる女性ファンもますます多く獲得していると、同氏は述べた。
人気シリーズには、34歳の「無職の童貞男性」がトラックに轢かれ、魔術の能力を持つ幼児に生まれ変わる、『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』などがある。
今年のアニメジャパンでは、このテレビアニメ番組やその他の作品のプロモーションを行うブースに、同シリーズのほとんどが男性の長いファンの列ができていた。
「日本はもはやかつての最良の時代とは異なっており、この種のストーリーからは、人々はストレス発散や逃避の方法を探しているのかもしれないと思う」と、自身もファンであるやまだしんや氏(50)がAFPに語った。
このような逃避は「治療の役割を果たす。悲しい話だが」と、やまだ氏は語った。
とはいえ、異世界の人気は日本の内外で高まっているようだ。
有名な漫画キュレーションサイトで検索すると、タイトルに「異世界」が含まれる作品は4,000作以上あった。
このジャンルは長年にわたってきわめて大量の作品を生み出し、「過密状態」になる危険性があったが、下位ジャンルが誕生したことで鮮度を保つことができた、と末平氏が述べた。
中略
このジャンルは、「誰もが人生で経験する後悔や失敗から解放された」再出発を与えてくれる。
AFP