最新記事(外部)
お勧め記事(外部)

「大学の授業料半額にして」 大内裕和氏らの研究チームが提言 奨学金返済「かなり苦しい」大幅増

スポンサーリンク

1 :2023/03/09(木) 16:03:12.32 ID:LXbvqsi29.net

 新型コロナウイルス禍や物価高など高等教育を受ける学生の生活環境が悪化する中、労働団体などでつくる労働者福祉中央協議会(中央労福協)は8日、大学の授業料の半減や奨学金の拡充などを柱とした政策提言を発表した。文部科学省など関係省庁や政党に送付し、実現を促す。関係者は「低所得の家庭が学費負担に苦しんでいる」と訴えた。 (榎本哲也)

 提言をまとめたのは、大内裕和・武蔵大人文学部教授(教育社会学)らで構成する中央労福協の研究チーム。
 それによると、大学・短大・専門学校の(1)授業料半額(2)修学支援の対象を中間所得層まで拡大(3)無利子の貸与型奨学金を増やす(4)給付型奨学金の拡充(5)貸与型奨学金を返済中の社会人に税制面で支援するなど制度の改善(6)高卒生や社会人の職業教育充実(7)職業訓練と進学のニーズを満たす公立短大を主要都市に設置?の7つ。
 中央労福協は、日本学生支援機構の奨学金を返済中の人を対象としたアンケートを2015、18、22の各年に実施。提言は、これらの結果などに基づく。
 文科省のまとめでは、21年度の大学授業料は、国立の標準額が約53万6000円、私立の平均が約93万1000円で、他にも入学金や教材費などもかかる。また、文科省の学校基本調査によると、大学・短大・専門学校など高等教育機関への進学率は22年度、83.8%と過去最高だ。
 これらを踏まえ、大内教授は、ほとんどの人が進学する中、所得水準が平均を下回る家庭が、学費負担に耐えられないと指摘。「今の高等教育の学費は、子どもが18歳ぐらいになる頃には、保護者の給料が上がっている『年功序列型賃金』が前提。今はそうなっていないので、多額の奨学金が必要になり、卒業後の返済に苦しんでいる。学費が払えない学生だけでなく、真面目に返済している人への支援も必要だ」と話している。
◆「コロナ禍前に比べ苦しくなった」4分の1にも
 中央労福協が、日本学生支援機構の奨学金を返済中の2200人を対象に実施した2022年のアンケートによると、返済の負担感が「かなり苦しい」と答えた人は20.8%となった。
 15年の前々回調査では同じ回答が12.0%、18年の前回調査では13.7%で、大幅に増えている。
 コロナ禍前と比べた返済状況を聞いたところ、「苦しくなった」は26.0%で、4人に1人を占めた。
 大学など高等教育の費用が「かなり高い」と思う人は57.7%と半数超。「やや高い」は34.4%で、9割超が「高い」と答えた。
 自由回答の意見には「どうしても勉強したくて借りたお金だが、これなら高卒で就職した方がまだよかった」=私立大卒の非正規社員の女性(28)、「恋愛はおろか、結婚なんてと考えてしまう」=私立大院修了の正規社員の男性(35)=などの声があった。
 調査は昨年9月、ネット調査会社の調査モニターを使用して実施した。

東京新聞 2023年3月9日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/235541