1 :2023/03/03(金) 02:39:18.86 ID:XaQQ5xUO9.net
総会では「令和4年度昆虫の輸出に係る規制調査委託事業」の結果概要発表も行われた。この事業の目的は、昆虫を海外に輸出して市場に投入できる可能性があるのか、入口時点の規制の有無やその内容を把握することだ。
「EUについては昆虫に関わるさまざまな規制があり、食用昆虫は不可だ。一方、飼料用昆虫は諸々の条件を満たした場合には可能性がある。米国と中国は両国とも昆虫向けの特別なルールがなく、一般的な食料ないしは飼料に関わる安全要件が適用される。原則に従えば米国、中国ともに輸出は可能だ。シンガポールも昆虫に関わる規制やルールの策定が進んでいるため(調査対象に)加えたが、現状では食品が『×』で飼料は『○』という結果になった。シンガポールはEU等のルール形成を参考にして独自のルール作成を進めているところなので、今後、状況によっては緩和や厳格化する可能性もある」(矢野経済研究所 グローバルビジネスグループ 上級研究員 岡沢洋平氏)
対象地域の中では、EUが最も昆虫に関するルール形成が進んでいるという。
「2022年11月に欧州の『IPIFF(International Platform of Insects for Food and Feed)』が食用・飼料用、さらに昆虫に与えてよい餌など昆虫に関わるルールを体系化したガイドラインを発行した。昆虫の事業化推進に向けた認識の共有やプロセスの統一といった動きがEUを中心に活発化している」(岡沢氏)
「コオロギ生産ガイドライン」を公表、「ミズアブ」の検討も進む
フードテック官民協議会には複数のWT(ワーキングチーム)があり、総会ではいくつかのワーキングチームから経過報告が行われた。その中から注目のものをいくつか紹介しよう。
昆虫ビジネス研究開発WT(iWT)は2022年7月に「コオロギ生産ガイドライン」を公表し、現在は「ミズアブ生産ガイドライン」を検討している状況だ。
昆虫ビジネス研究開発WT代表(兼事務局長)で大阪府立環境農林水産総合研究所 審議役の藤谷泰裕氏は「昆虫業界の課題への対応に向けて議論しているが、まずは消費者からの信頼を獲得することが大事なため、安全性に関するルール形成を優先して活動している」と語る。
「人の管理下で昆虫を飼育し、それを食品や餌にする産業そのものの実態がないため、国が動くのも難しい状況だった。そこでわれわれ関係者が自主的にガイドラインを作ることになった。最終的には食品や飼料としての安全確保や、社会が許容する方法で飼育することにおいては絶対に守る。環境や飼育する昆虫、それを食べる人や動物、飼育従事者への安全・衛生への配慮を簡潔にまとめたものにした」(藤谷氏)
新興分野のため各企業が独自に行動しているだけでなく、監督する機関もないため、多くの昆虫関係者が加盟する「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」の中にあるワーキンググループ(iWG)が素案を作り、既に昆虫ビジネスに携わる人や研究者、安全性や食品・飼料の専門家などで構成しているワーキングチーム(iWT)で協議して原案として確定し、iBPFが「コオロギ生産ガイドライン」として公表する形になった。
「コオロギ生産企業、現在は10社13事業所から遵守の届け出をいただいており、ガイドラインの下で今後結束してやっていただきたい。コオロギ生産ガイドラインでガイドラインの雛形や検討体制ができたので、現在はミズアブのガイドラインを年度内の完成公表を目指して進めている。他の昆虫についても順次ガイドラインを作成していく。これらのガイドラインは技術の進歩や時代の変化に応じて適宜柔軟にアップデートし、昆虫ビジネスに対しての理解や普及を進めていくことにつながればいいと考えている」(藤谷氏)
ソース CNETJAPAN 記事の一部抜粋
https://news.yahoo.co.jp/articles/90b1f92feaafb1f33bab8ec01046fcc32a23b4b9?page=3