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2022/12/18 21:48 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221218-OYT1T50145/
富山県からロシアに向けて輸出される中古車が急増している。富山市、同県射水市、高岡市にまたがる富山湾沿岸の「伏木富山港」では、今年1~10月の出荷台数は前年同期の1・7倍、輸出額は3・4倍となった。
日本や欧州の自動車メーカーがロシアでの新車生産を停止し、高性能な日本の中古車が人気となる中、10年前からロシア・ウラジオストクとの間で定期貨物船が運航されてきた、同港の需要が高まったようだ。
「これほどたくさんの注文が入るのは初めてだ」。射水市で約30年間、ロシアに中古車を輸出してきたパキスタン国籍のナワブ・アリ・べーラムさん(60)は驚きを隠さない。1か月あたり50~100台だった輸出台数は、ウクライナ侵略後の今年3月以降、300台に急増した。スポーツ用多目的車(SUV)の人気が高く、これまで取引をしていなかった現地業者からの問い合わせも相次いでいるという。
大阪税関伏木税関支署(高岡市)によると、富山県からロシアへの中古車輸出台数は年間約4万~6万台、輸出額は250億~400億円ほどで推移していた。今年に入ると10月までに輸出台数は8万5521台、輸出額は1040億円まで増加した。うち8万5456台、1039億円がロシア向けだ。また、日本国内からロシア向けに輸出された中古車の約6割は、富山県からが占めるという。
日本はロシアへの自動車輸出を規制しているが、対象は600万円以上の高級車にとどまるため、中古車の需要は高まっている。
富山県とウラジオストクのあるロシア沿海地方は1992年に友好提携を締結。2012年には定期 RORO 船(貨物専用フェリー)の運航が始まり、現在は月14便にまで増えた。
富山県には定期RORO船の運航を利用し、中古車輸出に携わる業者が元々多く、現在も50業者ほどある。
ロシアとのビジネスを避ける動きが大手企業にある中、同国向け中古車輸出で実績のある富山県の業者が注目されたとみられる。
国際ビジネスに詳しい富山高専の岡本勝規教授は「円安・ルーブル高も追い風となっている。欧州や日本の高級車の輸出規制が続く限り、中古車輸出は堅調に推移する」としている。