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電気とガス料金の負担軽減策を政府が閣議決定 恩恵感じにくく、終わり見えない支出になる懸念

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1 :2022/10/29(土) 12:32:28.89 ID:Pw7iqRKv9.net

 政府が28日閣議決定した総合経済対策の柱は電気、ガス料金の負担軽減策だ。将来の料金値上げを見越した対策のため、専門家からは「恩恵を感じにくい」との指摘が上がる。一方、エネルギー価格の高騰はいつ収束するか見通せず、支援長期化による財政支出拡大への懸念も強い。(砂本紅年)

◆相次ぐ価格高騰 見えづらい効果
 今回の支援対象は当初、今年5月時点で前年同期比2、3割上昇した電気料金だけだった。だが、都市ガスも同様に高騰しているため、業界要望を受け支援に追加。さらに、電気や都市ガスとは別の方法で、値上げが比較的小さかったLPガスも対象となった。
 家庭向け電気料金の値上げを巡っては、北陸電力が来年4月から、上限が決められていた規制料金についても値上げすることを発表するなど、さらなる高騰が想定され、他の電力会社にも波及している。今回の策はそうした来春の値上げ分の相殺を狙ったもので、すでに高騰している現状の料金水準より下がるとは限らない。そのため、大和総研の小林若葉氏は「恩恵を感じにくいのではないか」と予想する。政府は料金の請求書に値下げ額を示し、政策をアピールする方針だ。
◆見えない出口 増える財政支出
 支援の恩恵を感じにくい半面、支援終了の「出口」の見極めが難しく財政支出はどんどん大きくなりそうだ。先行する形で今年1月から始まったガソリンや灯油への補助金は当初は時限的とされていたが、既に何度も延長され今回の総合経済対策に入った。電気、ガス料金については来年9月に支援幅を縮小すると明記したものの、岸田文雄首相は会見で「その時点でのエネルギー価格の動向を踏まえ、予断を持たずに判断する」と述べた。
 小林氏の試算によると、支援幅の縮小を反映した2023年の1年間の財政支出は、電気で3兆2000億円、都市ガスは7000億円と4兆円近い。1リットル170円程度に抑えるという目安があったガソリンへの補助金と比べて、電気料金の高騰が本格化すれば、目安がない分、支援が長期化し財政支出がさらに膨れかねない。小林氏は「物価高の影響が大きい低所得層などを、ピンポイントに支援する方が費用対効果が良かった」と指摘する。

◆予備費で経済対策?今度は4.7兆円増額
 総合経済対策には、新型コロナウイルス対策などを名目にした計4兆7000億円程度の予備費の増額が盛り込まれた。2022年度当初予算と第1次補正予算で約7兆円を計上しており、総額で10兆円を超える規模となる。予備費は国会の審議を経ずに使途を決められるため「政府の便利な財布」とされ、識者は巨額の積み増しを問題視している。(大野暢子)
 政府は4兆7000億円を、新型コロナ・物価高対策予備費に加え、新設する「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費(仮称)」に充てる。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う経済危機に使いやすくするという。
 憲法83条は、税金などの使い道について、国民の代表者で構成する国会の議決に基づいて決めなければならないという「財政民主主義」の原則を定める。憲法87条では「予見し難い予算の不足」に充てるための予備費の計上も認めており、支出後に国会の承諾を得ることを明記している。
 従来は当初予算に3000億?5000億円程度を計上し、災害対応などに充ててきた。最近では9月に開催された安倍晋三元首相の国葬の会場借り上げや設営の費用としても予備費を支出し、国民から批判を浴びた。
 コロナ禍に見舞われた20年度以降は、従来の予備費に加え、コロナ対策を名目に数兆円規模の予備費計上が繰り返されるようになった。コロナ対策との関係が不透明な事業への支出も相次いで指摘されている。
 元財務官僚で明治大の田中秀明教授(財政学)は「災害対応などに充てる従来の予備費は必要としても、ウクライナ情勢に伴う経済危機への対応などを名目に巨額の予備費を乱発することは、財政民主主義の趣旨に反する」と批判した。

東京新聞 2022年10月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/210754