1 :2022/10/14(金) 08:49:38.75 ID:CAP_USER9.net
ついにアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)の放送が10月11日から始まり、はやくも大ヒットの予感を漂わせている。しかし原作ファンの中には、そんな同作のクオリティに満足いかない人も少なくないようだ。一体どこが逆鱗に触れてしまったのだろうか。
※アニメ『チェンソーマン』最新話に触れています
同アニメは、『週刊少年ジャンプ』に連載された藤本タツキの大人気漫画が原作。『呪術廻戦』や『進撃の巨人 The Final Season』を手掛けたアニメ会社『MAPPA』が制作を担当し、新進気鋭のクリエイターたちが集結している。珍しくアニメ製作委員会を持たないため、「ジャンプ」と「MAPPA」が社運を賭けた作品だ。
第1話『犬とチェンソー』では、名作映画の数々をオマージュしたハイクオリティなOPから幕を開け、壮大なストーリーの序章を展開。主人公・デンジと仕事相手のヤクザとの抗争や、公安のデビルハンターである謎めいた女性・マキマとの出会いが描かれた。
もちろん少年漫画の華であるバトルシーンも用意されており、3DCGを活用したド派手なアクションが繰り広げられることに。アニメとは思えないほどのなめらかな描写によって、デンジの大立ち回りが表現されている。鳴り響くチェンソーの音に興奮した人も多いだろう。
しかし、そんな戦闘シーンに対して、原作ファンたちは何やら不満げ。《原作の方が躍動感ある気がする》《CGとか暗い雰囲気を重視するあまりに原作の勢いが死んでる》《ぬるぬる動けば良いというものでもないし、キメる画はしっかりキメてほしい》《チェンソーマンの戦闘シーンってキメの絵をバッ!て出すタイプなので、今回みたくぬるぬるしてるのはちょい違う》といった意見が上がっているのだ。
重要なセリフの改変も
アニメ「チェンソーマン」の作画は決して悪いわけではなく、むしろ「神作画」との声が圧倒的だ。しかし、その方向性は、いわゆる“ぬるぬる動く”ことを目指したアクションだった。
それに対して藤本による原作では、長々とアクションシーンが描かれることはない。むしろ構図をしっかり作り込んだ大ゴマのキメ絵によって、読者にインパクトと読む勢いを与えている。そのため、アニメ版の戦闘シーンはどこか印象に残らない表現となっているのだろう。
また、アクションシーンだけでなく、セリフが原作と微妙に異なっていた点もやり玉にあがっている。とくに批判を向けられていたのは、デンジが「邪魔ァすんなら死ね!」と言うシーンだ。
アニメだけ見ていれば違和感がないが、原作では「俺達の」という言葉から始まるセリフだった。わずかな差だが、終盤でマキマから放たれるセリフと対をなすため、原作ファンにとってはこの違いはいろいろな意味で看過できないのだろう。
そのほか、ヤクザの子分が「なんであんなガキをデビルハンターに雇ってるんです?」と聞くシーンは、アニメ版のみ、デンジの子供時代に「俺をデビルハンターで雇ってください」というシーンにそのヤクザの子分がいるため、質問が破綻していた印象だ。
しかし〝表現〟という視点では、原作から変わったシーンが山ほどある。
あえてキメ絵を使わなかった?
漫画はコマ割りによってフレームを変えることができるが、アニメは画面全体がフレームのため、漫画のコマ使い・コマ割りをそのまま再現することは難しい。原作の「チェンソーマン」は、漫画という媒体のコマによる制限を逆手にとった技法、漫画ならではの表現を最大限に生かした点が、名作と言われる理由のひとつだろう。
そのため、漫画には漫画の、アニメにはアニメの良さを活かす道がある。技のエフェクトを映像によって補完した『鬼滅の刃』は、アニメ表現として優れていたため歴史的ヒットを記録したのだ。その点を踏まえると、キメ絵を使わず、ぬるぬる作画を採用した理由が見えてくるかもしれない。