1 :2022/07/26(火) 06:53:37 ID:CAP_USER9.net
https://mainichi.jp/articles/20220725/k00/00m/040/327000c
いくら頑張っても賃金は上がらず、若者に諦めムードが漂う一方で、高齢世代の意見が政治的影響力を持つ「シルバー民主主義」という状況が見え隠れする現代の日本社会。書店をのぞけば雑誌には「老害社会」という言葉も踊り、世代間の分断は広がるばかりのようにも感じられる。果たしてこのままでいいのだろうか。【賀有勇】
「老害」という言葉に嫌悪感
「嫌な言葉だなあ」
現在公開中の映画「PLAN 75」を手がけ、第75回カンヌ国際映画祭で新人監督賞の特別表彰を受けた早川千絵監督は、「老害」という言葉への違和感を語った。
「高齢化問題に対する怒りの矛先を、政府ではなく高齢者に向かわせた」。「敬老」の対極にあるような「老害」という言葉を雑誌やコメンテーターの発言などを通じて広めたメディアに、苦言を述べる。
「PLAN 75」は、高齢化が進む近未来の日本社会で、75歳以上が安楽死を選択できるプラン75と呼ばれる制度を巡る物語だ。
ホテルの客室清掃の仕事で働く78歳のミチ(倍賞千恵子)が、高齢を理由に仕事を解雇され、身寄りもなく、プラン75の窓口を訪れる。高齢者からの申し込みを受け付ける公務員のヒロム(磯村勇斗)ら若者が淡々と仕事をこなしていく中で、次第に違和感を抱き葛藤する様子を描いた。
2020年の人口全体に占める65歳以上の割合を示す日本の高齢化率は約28%で世界一。フィクションでありながらも、近い将来、プラン75のような制度が作られても違和感を覚えないのではないかと思えてしまう。
お年寄りは「社会のお荷物」か?
早川監督は、ニューヨークの美術大に通っていたころ日本に一時帰国した際、遊び慣れた公園にあったベンチが、寝転べないように手すりなどの突起が付けられた「排除ベンチ」に変貌しているのに気付いた。そのベンチが持つ意味に気づき、「背筋が凍る思い」をしたという。
プラン75があれば、「今の日本社会は受け入れてしまうのではないか」。そう感じたことが映画につながったと語る早川監督。「日本社会が弱者に不寛容になっているのでは」。その思いは年々強まっている。
早川さんは映画製作にあたり、60~80代の高齢者約15人に話を聞いた。全員が「子供や孫に迷惑をかけたくない」と口をそろえ、多くの人がプラン75は「あった方が良い」と肯定的に捉えたことが印象深かったという。
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