1 :2022/01/28(金) 13:28:48.10 ID:QsGPgVaw9.net
昨年、岡山県で20代の女性教諭が、特殊詐欺にかかわったとして逮捕された。
女性教諭は公立小学校の常勤講師を務めており、結婚して子供もいたという。だが、借金を抱えていたことから、条件のいい副業を探しはじめる。
事件の前年、彼女がSNS上で見つけたのが闇バイトの募集だった。当初から彼女が仕事内容を特殊詐欺だと把握していたかどうかはわかっていない。だが、多額の報酬がもらえると知り、応募した。
それから彼女は兵庫県を中心にして、特殊詐欺グループの指示に従って複数人に対して特殊詐欺をする。被害者と会って現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、そのキャッシュカードをつかって現金を引き出す「出し子」の両方を掛け持ちしていたという。
女性教諭の報酬は1割ほどだった。報道によれば、被害総額は約680万円だったというから、単純計算して68万円ほどを稼いだことになる。
だが、21年5月、女性は岡山県内のATMで他人のキャッシュカードをつかって現金を引き出したところを警察によって逮捕される。その後の取り調べによって、判明しているだけで53件の被害にかかわっていたことが判明した。
◆被害増額は285億円
国の発表によれば、昨年度の特殊詐欺における年間の被害総額は285億円とされている。
特殊詐欺の犯罪組織の主要メンバーは、主に半グレだ。彼らはインターネットを駆使して「かけ子」と呼ばれる人間を集め、裏世界で流通している名簿をもとに電話をかけていく。相手をだました上で、別に集めた「受け子」に被害者から現金やキャッシュカードを受け取らせたり、「出し子」に預金を引き出させたりする。
特殊詐欺の主要メンバーにとって、逮捕リスクの高い「受け子」「出し子」は捨て駒だ。主要メンバーは電話やSNSによって彼らを遠隔から操作し、警察に捕まればトカゲの尾のように切り捨てて逃げる。
今回の取材で、この主要メンバーの一人が、「受け子」「出し子」のリクルート方法について次のように語った。
「岡山で逮捕された学校の先生がどういう人間かは知らないが、ニュースを見た時は『扱いやすい女だったんだろうな』と思ったよ。俺らの側からすれば、一番利用しやすいタイプ。
受け子とか出し子って、ヤンチャ(不良)がやっているイメージがあるかもしれないけど、全然ちがう。ああいう奴らは、危なっかしくてつかいたくねえ。それより大人しい、いじめられっ子タイプがもっとも合ってるんだ。だから、俺らもそういう人間を見つけようとしているんだ」
実際に、私も刑務所や少年院で特殊詐欺にかかわって逮捕された人たちにインタビューをしたことがあるが、典型的な不良というより、むしろ口数の少ない臆病な印象のある人のほうが多かった。
なぜ女性教諭のような人間を「扱いやすい」と考え、積極的にリクルートするのか。主要メンバーの証言から、その理由を明らかにしたい。
特殊詐欺の被害者の8割以上は高齢者だ。だが、加害者の平均年齢ははるかに下がる。昨年の統計では、特殊詐欺で逮捕された人間の7割が10代から20代の若年層なのだ。さらにいえば、事件の9割において共犯者(大半の場合は主要メンバー)が摘発を逃れている。