1 :2022/01/20(木) 11:00:38.84 ID:4vmrLArB9.net
日常生活に支障をきたす「ブレインフォグ」と呼ばれる症状を訴える人が増えている。
まだわかっていないことが多いものの、この後遺症について判明したことのいくつかは、
長い間研究者を悩ませてきた別の疾患の研究に新たな洞察をもたらす可能性が出てきた。
現在、600万人近い米国人を苦しめているアルツハイマー病だ。その患者の数は、2060年までに3倍に増えると予測されている。
コロナ後遺症患者に見られる認知的症状は、アルツハイマー病の症状にとてもよく似ているという。
アルツハイマー病が、なぜ容赦なく患者の記憶を奪っていくのかに関して、科学者は様々な原因を検討している。
アルツハイマー病の原因については、ウイルスか細菌、または真菌の感染が引き金となって体内で様々な異変が起こり、
神経変性を引き起こすのではないかという仮説もある。
アミロイド仮説よりは支持されていないものの、以前から提唱されており、新型コロナウイルスのパンデミックが宣言される直前の2020年3月9日にも
これを示唆する論文が学術誌「nature reviews neurology」に発表され、再び注目を集めていた。
「この10年以上、脳炎や脳と免疫系の関連への興味が高まり続けています」と、米マウントサイナイ医科大学の神経科学者で毒物学者のショーン・ノートン氏は言う。
重度の新型コロナ感染症で死亡した患者の病理解剖をしてみると、様々な結果が返ってくる。
脳にウイルスの痕跡が全く見られない患者から、脳血管の中に少量のウイルスが隠れていた患者、さらに脳全体にウイルスが広がっていた例もあった。
2021年6月に学術誌「Nature」に発表された論文によると、新型コロナにかかって亡くなった8人の脳サンプルを調べたところ、
ウイルスは発見されなかったものの、脳の免疫系の一部として機能するミクログリアという細胞が、アルツハイマー病患者と似たような病理変化を見せていたという。
ウイルスがもっと直接脳に影響を与えているとみる科学者もいる。
米アリゾナ州にあるバナー・サン衛生研究所シビン神経病理学研究室の室長ガイディ・セラーノ氏は、
ウイルスが、においを分析する嗅球から脳に入り込んでいることを示す証拠があると指摘する。嗅球から、感情を調節する扁桃体へ、そしてさらに海馬へと移動するという。
「これらは認知と記憶に関係する領域です。この経路をウイルスが移動しているとすれば、他のタイプの認知症に酷似して見えるようになるのも頷けます」
もっと最近では、米国立衛生研究所による新型コロナ感染者44人の病理解剖を行った結果がある。
新型コロナ感染が直接の原因で亡くなった患者もいれば、なかには感染後最長で7カ月後に死亡したケースもあった。
そのうち11人について広く脳を調べたところ、10人の脳に、死亡時に新型コロナウイルスが広がっていたことがわかった。
2021年12月20日に学術サイト「Natrue Portfolio」に発表された論文は目下査読中だ。
しかし、米エール大学医学部の神経学教授であるセリーナ・スプディッチ氏は、病理解剖だけでは限定的な情報しか得られないと指摘する。
「病理解剖のデータが大変参考になるのは確かですが、この種のデータには但し書きもついています。つまり病理解剖されるのは、重度の新型コロナ患者か、死亡した人たちです。
死を目前にした体と脳には、ありとあらゆる恐ろしいことが起こるものです」
ならば生きている人はどうかと言うと、こちらでも新たな手がかりが得られ始めている。
米ニューヨーク大学ランゴーン・ヘルス・グロスマン医学部の神経救急治療スペシャリストであるジェニファー・フロンテラ氏とそのチームは、
2020年10月に医学誌「Neurology」に発表した論文のなかで、新型コロナに感染して入院した患者の13.5%が脳障害
(感染症や体の免疫反応によって引き起こされる認知機能障害)やてんかん発作、脳卒中などの神経疾患を新たに発症していたと報告している。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/011900030/