1 :2021/12/08(水) 11:39:28.56 ID:l9+NmGmC9.net
FAセンサーなど検出・計測制御機大手のキーエンスの創業者、滝崎武光がファーストリテイリングの柳井正会長兼最高経営責任者(CEO)を抜いて日本一の富豪となった。
米通信社ブルームバーグ(9月14日付)が報じた。
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滝崎の保有資産は382億ドル(約4兆2000億円)。2020年の初めからキーエンスの株価がほぼ倍増したのが大きく寄与した。
国内2位の柳井は356億ドル(約3兆9000億円)。21年にファーストリテイリングの株価が下落して、およそ5分の1の資産を失った。
〈工場自動化(FA)の起業家が小売業界を代表する大物を抜いてトップに立ったことは、新型コロナウイルスの感染拡大が、富の移転を促していることを示す一例と言える〉。ブルームバーグは、こう分析した。
キーエンスの株価は9月14日、7万6210円の上場来最高値を記録した。20年の始値(1月6日)3万8500円から右肩上がりの上昇をつづけ、株価は2倍になった。
9月初めに発表された日経平均採用銘柄の定期入れ替えでキーエンスの新規採用が決まったことが追い風となり、株価は急騰した。
キーエンスは任天堂や村田製作所とともに10月1日付で日経平均採用銘柄となった。
12月3日の終値は前日比50円高の7万1010円。時価総額(発行済み株式数×株価)は17兆2701億円。
時価総額ランキングでは、トヨタ自動車(33兆9188億円)、ソニーグループ(17兆4344億円)に次いで堂々の3位だ。
滝崎は本人名義で6.21%、資産管理会社ティ・ティ(非上場、大阪府豊中市)名義で15.04%、合わせて21.25%のキーエンス株を保有している(21年3月期末)。
キーエンス株の高騰で彼は日本一の大富豪になった。
大富豪ならではの悩みを抱える。相続税問題だ。16年9月、滝崎の長男が大阪国税局の税務調査を受け、
贈与された資産管理会社の株式を巡り1500億円の申告漏れを指摘された。追徴税額は過少申告加算税を含め300億円超。既に全額納付した。
16年当時、資産管理会社ティ・ティはキーエンスの発行済み株式の17%超(約7800億円相当=当時)を保有しており、
滝崎らはティ社株を現物出資して新たに非上場の資産管理会社を設立。数年前に新会社の株式を長男に譲渡したという経緯があった。
国税庁は、非上場株の評価は「業種や事業内容が類似する上場企業の株価などを基に算定するよう」求めている。
新会社はティ社を通して大量のキーエンス株を保有していることから、国税局は評価が過少だと認定したわけだ。
■2度の倒産を乗り越えて
「キーエンスという会社を知っていますか?」「創業者の滝崎武光の名前を耳にしたことがありますか?」と聞けば、おそらく多くの人が「ノー」と答えるだろう。
キーエンスは徹底した秘密主義の会社であるからだ。ヨイショ本も出してないし、社長が講演で話すなどということも一切ない。
消費者に名前を売る必要がないから、テレビCMなども、ほとんどやらない。メディアは「謎めいた」とか「秘密のべールに包まれた」との形容詞をつける。
滝崎武光・取締役名誉会長は1945年6月10日生まれの76歳だ。
キーエンスの歴史は1974年、彼がリード電機を設立したことに始まる。
経歴は異色だ。兵庫県立尼崎工業高校を卒業後、外資系のプラント制御機器メーカーに勤めた後、1度目の起業にチャレンジしたが倒産の憂き目に遭う。2度目の起業も、1回目と同様に失敗した。
リード電機の設立が3度目の正直だった。時に29歳。リード電機の創業時の仕事は電線メーカー向けの自動線材切断機の製造だった。最新の電子制御によって小型化に成功した。
74年、トヨタ自動車へのセンサーの納入が最大の転機となった。70年代初頭のトヨタはプレス加工において、高額な金型が壊れるという事故に悩まされていた。
この事実を知った滝崎は、トヨタに板金の二重送りを未然に防ぐセンサーを提案し、信頼を勝ち取った。
トヨタへの機器納入をテコに、工場の自動化に必要不可欠なファクトリーオートメーション(FA)用のセンサーの直販会社として業容を拡大する =文中敬称略
(有森隆/ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea2eb1e6c81e0086f000f9923c70a16f6832b7f8
滝崎武光氏