1 :2021/11/23(火) 15:25:04.25 ID:3Yf0RWJr9.net
今回の経済対策でまず注目を集めたのは、「18歳以下への1人あたり10万円相当の給付」だった。公明党が先の衆院選で「未来応援給付」として掲げた公約がベースとなっているが、「裕福な子育て世帯にも給付があるのはおかしい」という議論が巻き起こり、自公は「年収960万円の所得制限」を設けることで合意した。全国紙政治部記者が言う。
「児童手当の支給の所得制限の仕組みをベースとすれば迅速な給付ができるということで、子供2人の場合であれば、主たる生計維持者が年収960万円未満なら給付が受けられるという仕組みに落ち着いた。ただ、夫が年収950万円、妻も年収950万円といった、いわゆる“パワーカップル”に分類されるような人たちでも給付を受けられることになり、公平性を欠くのではないかと疑問の声があがっています」
そうした批判があったことも意識してか、政府は子育て世帯だけではなく、コロナ禍で苦しむ困窮世帯に対する支援策も打ち出した。今回の経済対策には、所得が低い「住民税非課税世帯」に対し、1世帯あたり「現金10万円」を配ることが盛り込まれた。バランスを取ったように見えるが、それについても疑問視する向きはある。
住民税非課税世帯は、基本的に生活保護受給者かどうか、前年の所得がどのくらいあるかなどによって決まる。仮に十分な貯蓄があったとしても、前年の所得が少なければ住民税非課税となるわけだ。「収入は少ないけど、貯蓄は多い」という人など、なかなかいないだろうと思うかもしれないが、そんなことはない。ベテラン社労士が言う。
「一般的な年金収入のある世帯が、住民税非課税となることは珍しくありません。東京23区をはじめとする大都市であれば、夫の年金が年211万円(月額約17.5万円)より少なく、妻の国民年金が月額約6.5万円程度であれば、住民税非課税となります。厚生労働省は、年金受給者のモデル世帯を『夫婦で約22万円』と設定していますから、それをベースとして考えれば“一般的な年金受給世帯”は住民税非課税ということになる。過去の厚労省の資料などを見ると、住民税非課税の対象者は約3100万人などと推計されていますが、そこには多くの年金受給者が含まれていると考えられます」
もちろん、老後資金2000万円不足問題などに象徴されるように、高齢者の“資産寿命”をめぐる問題は深刻なものとして考えなくてはならない。ただ、新型コロナによって様々な人の生活が打撃を受けたなかで、「残業代やボーナスが減った現役世代に比べて、リタイア後の世代は年金が減額されたわけではないので影響は比較的軽微と考えられる。貯蓄額についても、現役世代よりもリタイア後世代のほうが多いのは、各種統計でも明らか。年齢を重ねた人のほうが“貯蓄があり、収入も減っていない”という傾向はあるはずだ」(同前)との指摘もある。自治体の福祉行政関係者もこう話す。
「もともと、住民税非課税世帯であれば、年金から天引きされる健康保険料や介護保険料などの負担も少なくて済むし、医療費が抑えられる『高額療養費制度』の自己負担上限額も低くなる。自治体によってはインフルエンザ予防接種が無料になるなどの各種の負担軽減策がある。
現役世代で失業したり、ワーキングプアで収入が少なかったりする住民税非課税の人たちに10万円を給付するという話はわかるが、十分な貯蓄のある年金世代の人まで一緒に10万円を受け取れるのは、多くの人から納得の得られる施策と言えるのだろうか。東京都などの大都市の場合、単身者で年収が100万円より多ければ住民税非課税にならない。働く貧困世帯に、本当に支援の手は届くのでしょうか」
困窮する世帯への支援が必要なのは当然だが、どのような線引きが適切なのか、さらなる議論が巻き起こりそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/35aed6fb249da393151c9f113700485d2f19c3ef