1 :2021/11/14(日) 16:53:54.65 ID:CAP_USER9.net
戦後の映画黎明期から’70年代のテレビドラマ全盛期、そして令和に至るまで、この国は数々の名優を生み出してきた。日本人の記憶に生き続ける、綺羅星のごとき俳優からただ一人を選ぶとしたら?
今回、君塚良一氏、寺脇研氏、ペリー荻野氏、成馬零一氏の有識者4人による大座談会を開催、大いに語り尽くしてもらった。
三船敏郎vs.小栗旬
寺脇:私は学生時代から数えて、8000本以上の邦画を観てきました。そのなかで日本一の俳優を挙げろと言われたら三船敏郎を推したい。
三船といえば、『椿三十郎』(’62年)など数々の黒澤明映画で主演を務めてきました。戦中、戦後の日本を生き抜いた、「昭和のシンボル」です。
ペリー:おお、いきなり大本命ですね。
私も先日、三船さんが出演した『新選組』(’69年)を観ました。あの作品で三船さんは近藤勇を演じていますが、彼が佇んでいるだけで画面が引き締まる。三船作品を観ると「日本映画はいいな」と、しみじみします。
寺脇:『椿三十郎』などの時代劇も彼の十八番ですが、軍人役も迫力満点です。特に『日本のいちばん長い日』(’67年)での阿南惟幾陸軍大臣役の鬼気迫る演技は、三船さんの真骨頂です。
君塚:三船さんや彼のライバルだった仲代達矢もそうですが、戦後から’70年代にかけて「戦争モノ」が人気だった時代、いかに軍人姿が似合うかが名優の大事な基準でした。その伝で言えば、三船さんは完璧です。彼の軍人姿は凛とした佇まいがあり、痺れるような恰好良さがありました。
成馬:三船さんは、「陽」を背負った正統派のスターでした。現代の役者でいえば、誰にあたるでしょうか。
ペリー:秋ドラマ『日本沈没』(TBS系)で主演を務めている小栗旬はどうでしょう。
彼は『日本沈没』で、国難を前に立ち上がった環境省官僚・天海啓示役を熱演しています。来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での主役も決まっているし、日本を代表する俳優のひとりです。
君塚:小栗さんは正義感が強く、困難に対して正面からぶち当たっていく役どころが多い。昭和から連綿と続く、正統派スターの系譜です。
成馬:『日本沈没』といえば、もう一人、現代の「怪優」がいます。当代随一の役者として、香川照之も外せないでしょう。
ペリー:私も『日本沈没』を観ていて、香川さんの演技に目が向いてしまいます。彼はドラマ内で、「関東沈没」を提唱する田所博士を演じている。独特の抑揚で天海に日本列島の危機をまくしたてるシーンは、ぐいぐい引き込まれます。
寺脇:たしかに彼の演技はインパクトがありますが、癖が強すぎるように感じることもあります。癖が売りなのはわかりますが、それがかえって作品の流れを壊してしまう可能性もあります。
成馬:いまは画面の小さなスマホでドラマを観る人も多いですからね。芝居をオーバーにせざるを得ない面もあるのでしょう。好きな人はたまらなく好きだけど、一方では敬遠される向きもある。そんなアクの強さも、名優の条件のひとつでは?
君塚:本来、香川さんはさりげない演技が凄く上手いんです。
私は’06年に『役者魂! 』(フジテレビ系)というドラマを手掛けた際、香川さんとご一緒しました。劇中、香川さんは芸能事務所の社長を演じましたが、彼の口癖が「独立したら、潰すよ」でした。
普通ならば凄みを利かせて話す場面で、香川さんはクチャクチャとバナナを食べながらその台詞を吐いた。そうすることで、役のキャラクターが引き立つのです。少しのアレンジで、想像を超えた味わいを出す。役者・香川照之の凄さを垣間見た瞬間でした。
※続きはリンク先で
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e6517262db55294fe812cf50d04983d49e3979e
左から、三船敏郎、小栗旬、香川照之、ムロツヨシ