1 :2021/09/05(日) 06:54:50.68 ID:CAP_USER9.net
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/09050559/?all=1
映画「東京リベンジャーズ」の興行収入が8月29日までに40億円を超え、今年前半の大ヒット作「花束みたいな恋をした」の38億1000万円を超えた。主演の北村匠海(23)を始め、山田裕貴(30)や吉沢亮(27)ら売れっ子が出演陣に揃ったとはいえ、どうして大当たりしたのか。
「東京リベンジャーズ」が当たった理由を考察したい。
主人公は冴えない暮らしを送るフリーターの花垣武道(北村匠海)。10年前の高校時代もヘタレなヤンキーだった。
ある日、高校時代の彼女・橘日向(今田美桜、24)が、暴走族・東京卍會の抗争に巻き込まれて死亡したのを知り、それを阻止するため、タイムリープする。昔の彼女を助けるために過去へ行くぐらいだから、武道は正義の人だ。
高校時代の武道をなぜか気に入っていたのが、東京卍會の総長でマイキーこと佐野万次郎(吉沢亮)。同じく正義の人だ。一般人や女性には決して危害を加えない。
東京卍會の副総長でドラケンこと龍宮寺堅(山田裕貴)もやはり正義の人。弱い者いじめはせず、対立組織・愛美愛主(メビウス)との乱闘では身を粉にして戦った。
ヤンキー映画を観ない人は「みんなワルで正義は存在しないのでは」と思うかも知れない。
確かに東京卍會も愛美愛主も暴力に明け暮れる。
だが、この作品に限らず、ヤンキー映画の登場人物は正義とワルに二分される。その線引きは何かというと、「高潔」か「卑劣」かである。
この映画の場合、日向を命懸けで助けようとした武道、仲間を第一に考えたマイキーとドラケンは高潔。正義だ。
一方、愛美愛主は卑怯でワルである。誰彼構わず危害を加え、ドラケンの謀殺を図ったからだ。観客側が肩入れするのは正義のヤンキーだけなのは言うまでもない。
この映画はヤンキー同士の対決を描いたようで、正義とワルの戦いだった。実はヒーローものと同じ構図なので、分かりやすかった。勝つのは正義と決まっているから安心して観られたし痛快だった。これがヒットした理由の1つだろう。
ヤンキー映画の観客は大義さえあったら、人殺しすら認める。半面、卑劣な行為は決して許さない。それが分かりやすいのは同じくアウトロー作品であるヤクザ映画だ。
「仁義なき戦い」(1973年)で主人公の広能昌三(故・菅原文太さん)は物語の冒頭でピストル殺人事件を起こした。この時点で十分にワルであるはずだが、観客は気にしない。高潔だからである。
ワルはあくまで山守組組長の山守義雄(故・金子信雄さん)。私腹を肥やすことしか頭になく、子分は単に利用する存在と考えている。卑怯漢だ。
正義の広能と卑怯な山守が対立したから、観客は熱狂した。
「そんな対立構図なら刑事物などでも可能だろう」という人もいるかも知れないが、アウトロー作品だからこそ描ける世界が数々あるのだ。