1 :2021/06/24(木) 16:56:25.90 ID:zPZeh6Ma9.net
この寄生虫による感染症が最初に見いだされたのは1904(明治37)年、東京大学病院皮膚科を受診した 33 歳の女性でした。
顔や頭などを除く全身の皮膚で長さ 3〜12ミリほどの糸くず状の寄生虫が分岐増殖しているという見たこともない症状を示していました。
以降、この奇病の報告数は全世界でわずか18。幼虫は卵を産まず、皮膚をはじめとする臓器で無分別に分裂して増殖します。
感染経路は不明、知られているのは幼虫のみ、これまでにどんな動物からも成虫は見つかっていません。
日本では1987年以降、患者は確認されていませんが、今も効果的な治療薬はなく、外科的に取り除く以外、対処方法はありません。
症例数が少なすぎるため、研究はほとんど進んでいませんでしたが、1981年のベネズエラの症例から分離された芽殖孤虫は、40年間生きたマウスに感染させ続けることで国内で保存されてきました。
菊地准教授によると、芽殖孤虫は基本、細長い形状で、活発に分岐を繰り返しているものは、「メデューサの頭」のような形態に見えるそうです。
大きさも不定ですが、小さいもので数ミリ、大きいもので10センチくらいのものが継代しているマウスからとれるそうです。
宮崎大学、国立科学博物館、東京慈恵会医学大学らの研究者たちは、最新設備でゲノムを分析し正体を探りました。
芽殖孤虫のゲノムをマンソン裂頭条虫やこれまでに発表されている他の条虫のそれと比較したところ、(1)マンソン裂頭条虫とは別種の裂頭条虫目条虫である(2)成虫段階が存在しない可能性が濃厚(3)二つのタイプがあり増殖が速い「メデューサ型」は未知のタンパク質を分泌している―ことが明らかになりました。
今後、ゲノム情報に基づいた研究により、新規薬剤の開発も視野に入ってきます。芽殖孤虫という不思議な生物がどのような進化を経て生じたのかという謎も解明されるかもしれません。
2021.06.22
https://maidonanews.jp/article/14369227