1 :2021/05/02(日) 14:22:01.61 ID:yeKc4xDr9.net
4月初旬、東京アクアティクスセンター(東京都江東区)で開催された競泳の日本選手権。
池江璃花子選手の復活を報じるテレビに無人の観客席が映ると、東京都の幹部がつぶやいた。
「寂しいが仕方がない。無観客でも、中止よりはいいよ」
◆観客「50%が最低ライン」だったが…
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京五輪・パラリンピックの観客をどうするか。
国や都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などは海外の観客受け入れを断念し、
焦点は国内の観客の扱いに絞られている。
「50%が最低ラインだ」。
8万人収容の国立競技場(新宿区)なら4万人。プロ野球などを引き合いに、関係者から強気な発言が相次いだ。
「観客の問題にめどが付けば、一気に開催機運が盛り上がる」との声もあった。
しかし、変異株の猛威で楽観論は崩れる。
開催まで3カ月を切る中、国内の観客の判断は先送りされた。
約2万人を入れて5月9日に国立競技場で行われる予定だった陸上のテスト大会も、無観客が決まった。
◆チケット代900億円が消える
「もし観客を入れて感染が広がれば、五輪は失敗と言われてしまう。感染状況が劇的に改善しない限り、
無観客は避けられないのでは…」。別の都幹部が悲観的な見方を示す。
無観客開催は、もちろん五輪史上初。大会の盛り上がりが失われるだけでなく、
総額900億円のチケット収入が消え、大会収支に深刻なダメージとなる。
組織委の武藤敏郎事務総長は、観客全体の1〜2割を占めるとされる海外の観客を断念した時点で、
「(チケット減収分は)組織委の増収努力、歳出削減努力では全てをカバーしきれない」と表明していた。
国内の観客までゼロとなれば、都や国の公的資金で負担するほかない。
◆目を背ける関係者
五輪には「魔物」が潜んでいる、と言われる。
実績のある選手が緊張から実力を出せない、そんな怖さを表現した言い回しだ。
しかし、東京大会の「魔物」とは、膨張し続ける開催経費のことではないだろうか。
招致段階では7340億円だったが、2019年12月時点で1兆3500億円に増加。
さらにコロナ禍による1年延期と感染防止対策で2940億円が加わり、現在は1兆6440億円とされる。
国と都は約9000億円の負担が決まっている。
ある組織委幹部が、延期と感染防止対策にかかる「2940億円」について内情を明かした。
「最初から『3000億円以内』との考え方でまとめた数字。
実際にいくらかかるかは感染状況次第で、やってみないと分からない」
収束が見えないコロナ禍で、都議会では共産が五輪反対に回ったが、
都幹部は「ここでやめたら、投入した全部が無駄になる」と一蹴。
都の追加負担について尋ねると、議論を封じるかのようにつぶやいた。
「その話は、大会が終わってからだ」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101831