1 :2021/01/02(土) 23:53:36.94 ID:DjxkUu1C9.net
モグラの種類によりますが、ほとんどの場合、メスのモグラはオスのモグラと同じ見た目をしていて、行動もオスと同じようになるとのこと。メスの性器は男性化し、陰核肥大が見られ、膣(ちつ)もほとんど形がありませんが、繁殖期になり交尾の季節になると、テストステロンの値が下がり、膣が形成され、交尾と出産を行います。
これまでどうやってモグラが性転換を行うのかは謎のままでした。しかし、モグラのゲノム配列が完全に決定されたことで、「生殖器官が発達して性ホルモンを調整する仕組み」に2つの遺伝子が関係していることがわかりました。
大部分の哺乳類の場合、X染色体とY染色体という2種類の性染色体の組み合わせで性別が決定します。これは、Y染色体上に存在するY染色体性決定領域遺伝子(SRY)という遺伝子の働きによるものです。SRYは精巣を発現する遺伝子を活性化し、逆に卵巣を発現する遺伝子を不活性化することで、生殖器をオスのものにします。
同時に、精巣の中に含まれるライディッヒ細胞でテストステロンを作り出します。テストステロンは筋肉量を増やし、男性器の形成や攻撃性の増加など、目に見える性差を作り出します。一方、メスの場合は卵巣からエストロゲンというホルモンが作り出されます。
しかし、モグラのメスは一般的な哺乳類のメスと違い、体内で「卵巣と精巣の両方の組織を持つ生殖腺」が発育することが、1993年の研究でわかりました。
メスのモグラの卵巣組織は卵子を作り出し、繁殖期の間に大きくなり、繁殖期を終えると縮小していくとのこと。一方、精巣組織は精子を作ることはありませんが、テストステロンを作るライディッヒ細胞で満たされており、繁殖期以外では卵巣組織よりも大きくなるほど成長します。
モグラのメスはY染色体を持っておらず、SRYが発現しないにもかかわらず、なぜ精巣組織が形成されるのかはこれまでわかっていませんでした。しかし、モグラのゲノム解析の結果、FGF9(線維芽細胞成長因子)遺伝子の塩基配列に突然変異が認められたとのこと。