1 :2020/12/30(水) 10:21:25.38 ID:LHh/K5bv9.net
小説ドラゴンクエストV(弁護士ドットコムニュース編集部・記者私物)
人気ゲーム『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(1992年発売)をノベライズした小説の主人公の名前を勝手に使われたとして、作家の久美沙織さんが、ゲーム会社「スクウェア・エニックス」などを相手取った訴訟を起こした。
久美さんは、『ドラクエV』を元にした『小説ドラゴンクエストV』(エニックス)を執筆。1993年に全3巻が出版された。ゲーム上では主人公の名前は決まっておらず、プレイヤーが決めることになっている。久美さんは小説で、主人公を「リュカ」と名付けた。
この「リュカ」という名前が、スクエニなどが制作した映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年8月公開)の主人公の名前として使用された。しかし、映画化の話、名前の使用などについて、久美さんへの事前連絡はまったくなかったという。
●テレビの情報番組で映画版「リュカ」を知る
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――映画の主人公の名前が「リュカ」だと知った
そのあといくら待っても何の連絡も来ないので、「あれ、おかしいな」とは思っていました。
――事前の連絡はなかったのですね。
久美さん:映画化の話も、「リュカ」の名前を使用することについても、事前の連絡はまったくありませんでした。
●製作委員会側の対応に不信感
映画の全体監修にあたったスクエア・エニックスの担当者から連絡をもらいました。
――どのようなお話になったのでしょうか。
久美さん:商業利用はNGとの判断を撤回し、「宣材も提供するし、映画の試写会も観に来てください」と言ってくれました。
「リュカ」と名付けた私への事前連絡を欠いてしまったことについても説明してもらえたので、映画のエンドロールに「久美沙織」のクレジットを入れるなどの対応をしてくれるのだろうと思っていました。
しかし、そうはなりませんでした。公式サイトやパンフレットなどを含め、どこにも私の名前はありません。「リュカ」はそのまま使われているにもかかわらずです。
●被告にはドラクエシリーズ生みの親も
――訴状では、精神的な損害の慰謝料としての損害賠償請求とともに、謝罪広告の掲載を求めています。
謝罪広告の掲載は、「リュカ」の名付け親が私であることをしっかり示してほしいと思って求めるものです。
お金がほしいわけではありません。小説をリスペクトしてほしいのです。私自身でもありません。創作物をリスペクトしてほしいのです。
――訴訟の被告には、ドラクエシリーズ生みの親とされる堀井雄二さんもいます。映画では「原作・監修」としてクレジットされています。
最後に担当した『ドラクエ?』のノベライズ以降、特に話す機会はありませんでしたが、「リュカ」の名付け親が「久美沙織」であることは、堀井さんなら当然知っているはずです。ご対応頂けなかったのはとても残念です。
●「キミたち一人ひとりが勇者になれるんだ」
久美さんは、今回の訴訟提起に先立ち、ネットで資金を募る「クラウドファンディング」の形式で実行した。
その結果、目標金額の100万円を超える「111万1000円」が集まった。資金は訴訟費用として使われる
――クラウドファンディングで支援してくれた方やファンの方に何を伝えたいですか。
久美さん:『小説ドラゴンクエストV』で、リュカがタイムスリップしてきた大人のリュカに「ねぇ坊や。いいかい。どんな辛いことがあっても、負けちゃだめだよ。くじけちゃ、だめだ」と言われる場面があります。
もとはゲームの設定、堀井さんが書かれた言葉です。
映画では「キミたち一人ひとりの物語だ」と言っていましたが、私は、クリエイターはむろん、そうでない方も含めて、若い人たちに「キミたち一人ひとりが勇者になれるんだ」と伝えたいですね。