1 :2020/12/02(水) 20:56:50.71 ID:6wZ1IM4T9.net
我々人間の脳は、他の霊長類に比べ非常に大きく、遺伝子が最も近いとされるチンパンジーと比較しても3倍ほどの大きさだと言われている。
これまで多くの研究者たちが、ヒトの脳の肥大化についてさまざまな議論を繰り広げてきたが、いまだ不明な点が多い。
しかし今年、全容解明に一歩近づく、興味深い研究結果が報告された。
■人間の遺伝子でサルの脳が2倍に
アメリカの学術誌『Science』に発表された研究によると、サルの胎児に人間の遺伝子を移植することによって、サルの脳のサイズを2倍にできることが分かった。
研究を実施したのは、ドイツのマックスプランク分子細胞生物学遺伝研究所と、日本の実験動物中央研究所および慶應大学のメンバーだ。
実験では、コモンマーモセットというサルの一種の胎児に、「ARHGAP11B」という人間特有の遺伝子を注入し、経過を観察した。
「ARHGAP11B」は過去の実験で、マウスやフェレットの大脳新皮質を拡大させることが確認されていたが、ヒト以外の霊長類の
大脳新皮質を拡大させることが判明したのは今回が初めて。
大脳新皮質は、脳の進化的に最も新しい部分で、推論や複雑な言語を処理する機能を担っている。
研究者らは、遺伝子を移植した胎児の脳が、妊娠100日目頃に最初のほぼ2倍の大きさになり、より高度な大脳新皮質を発達させた、
人間の脳に類似したものになったことを確認したという。
この結果から、「ARHGAP11B」が人間の大脳新皮質の拡大の原因である可能性が浮上している。
我々人間の大脳新皮質は、進化の過程で肥大化し、頭蓋骨の限られたスペースに収まるよう、しわになって折り込まれているが、
マーモセット胎児でも同様の現象が確認された。
研究を行ったマイケル・ハイデ氏は「マーモセットの大脳新皮質が拡大し、脳の表面がひだが出来ていることが判明した」と述べている。
■実験に使われた胎児のその後
プロジェクトメンバーは、倫理的観点や「予測できない結果」になることを考慮し、マーモセットの胎児を中絶することを発表。
メンバーのウィーランド・ハットナー氏は、「胎児期を過ぎて、人間の遺伝子を持ったサルが生まれてくるように実験を許可するのは無責任で倫理的ではない」とコメントしている。
臨床実験によって高い知性を身に着けたチンパンジーが地球を支配するという、2011年公開の映画『猿の惑星:創世記』を彷彿とさせる同研究。
今のところ映画のようなストーリーは起こり得ないようだが、研究結果を踏まえると、この映画はもはやフィクションとは言い切れないのかもしれない。