1 :2020/09/19(土) 12:31:17.03 ID:8F4LuXr/9.net
「これはジャパンライフが配っていた販売促進用のパンフレットです」。香港の繁華街・旺角の一角にある事務所で余氏は、そう切り出した。
「磁力は人を救い命を保つ」「健康ズボンで活力倍増」。中国語で書かれたパンフレットには磁気入りのベルト、枕、ベストなど多くの商品の写真が掲載され、磁気が健康を促進するとアピールしていた。
その手口は、日本での被害と同じだ。顧客に商品を販売する一方で、商品そのものはジャパンライフ側が預かって第三者に貸し出す形にして、利益から顧客(オーナー)に年6%程度の配当を支払うと宣伝した。パンフレットには、いずれも高価な健康商品の定価と、貸出料金が記されている。例えば定価17万5000香港ドル(約236万円)のベストの月額レンタル料金は875香港ドル(約1万1800円)。ジャパンライフは香港に三つの支店を構え、長年にわたり事業を展開してきた。
◇支店幹部ら姿消す
余氏の事務所に地域住民から相談が寄せられたのは2017年末ごろ。ジャパンライフが約2400億円の負債を抱えて経営破綻した時期だった。「配当が払われない」「破綻したら預けたお金はどうなるのか」。契約者の不安をよそに、支店の営業は同年末までに停止していた。
香港警察に相談したところ、支店幹部らは既に香港から姿を消していた。余氏のもとには相談が絶えず、被害者は約400人に達した。2000万香港ドル(約2億7000万円)の被害に遭った人もいた。給与未払いに悩む支店の従業員に聞き取りをしたところ「香港での契約者は2000人以上」と答えたという。
◇全財産投資した人も…
全財産の400万香港ドル(約5400万円)を投資して、毎月2万香港ドル(約27万円)の配当を生活費に充てていたという80代の女性にも、同年11月から配当が振り込まれなくなった。女性は当時、香港メディアに「体が悪く子供もおらず、今は生活費を親戚に頼っている。(契約したことを)とても後悔している。少しでも良心があるなら、お金を返してほしい」と涙ながらに訴えた。
余氏は18年には被害者らと東京に飛び、日本の被害者らとの交流会に参加したり、弁護士に相談したりした。だが「債務返済が先になる」として被害者の損害を賠償してもらえる手応えはなかった。「老後の生活に不安な友人や知人に『6%の配当が得られる』と勧誘し、契約を増やした人も大勢いる。虎の子の財産を失ってしまい、困窮する被害者を助けることができず悔しい」。余氏は唇をかんだ。【香港で福岡静哉】
9/19(土) 12:13 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/8cd4c6208015d490a4a13e36fd09aef6af2b08a0