1 :2020/08/14(金) 14:13:26 ID:XtdRSoLx9.net
お盆の帰省シーズンを前に、大都市のみならず地方都市でも新型コロナウイルスの感染が拡大。それにともなって地方では、感染者に対する強烈なバッシングだけでなく、東京から青森に帰省した男性の家に冒頭で紹介したような文面の手紙を投げ込む事態まで起きている。どうして日本では、こうしたコロナをめぐるバッシングが横行するのか。
社会心理学者で、各国の新型コロナに対する意識を調査した、大阪大学人間科学研究科教授の三浦麻子氏に聞いた。
■他国以上に「コロナは自業自得」と考える日本
日本中で新型コロナウイルスの感染拡大が起こる中で、これまで感染が目立たなかった地域では「誰がウイルスを持ち込んだのか」と感染者をつるし上げるような事件が起こっています。
感染者への差別が広まれば、感染を隠そうとする人も増える。そうなれば無理をして重症化する人も出かねませんし、感染を隠すことでさらなる感染拡大を招くことも起こりうる。公衆衛生上の危機に発展しかねません。
こうした社会の空気を裏付けるように、私たちが行った新型コロナウイルスに関する意識調査の国際比較でも、日本は特徴的な結果が出ています。
私や慶應義塾大学の平石界教授、広島修道大学の中西大輔教授らの研究グループでは、今年3月から4月にかけて、日本、アメリカ、イギリス、中国、イタリアの5か国で、400人から500人規模の意識調査を行いました。
※略
■未知への恐怖から生まれる「被害者叩き」
そもそも、ウイルスへの感染は誰にでも起こりうるものです。また、症状が重くなれば身体への負担も大きい。感染者は紛れもなく「被害者」であるはずです。ところが、日本では他国よりも感染自体を「本人の責任」とみなし、「被害者叩き」とも呼べる意識が強く見られるのです。
では、どうして日本ではこうした「被害者叩き」意識が他国よりも強いのでしょうか。いろいろな解釈がありえますが、まず考えられるのが、「不確実性の回避」という観点です。
感染予防のために“3密”を防ぐなど対策が呼びかけられていますが、依然として新型コロナウイルスは分からないことも多い。まして、これだけ感染経路不明の人が多い状況ですから、偶然感染しても何の不思議もありません。こうした「不確実」で予測できない状態には、怖さを感じて、どうにか回避したい、という心理が働きます。そして、「どうにか原因や予測を立てられないか」と考えてしまう。つまり「感染する理由」を探そうとするのです。日本人のこうした「不確実性の回避」傾向は、世界的に見てかなり高いことが知られています。
実際にはっきりと原因が分からなくても、何か“それらしい理由”を見つけ出して、「こんな無責任で悪いことをしたから、コロナにかかってしまったんだ」と思い込みたい。そうすることで、先の読めない不確実性に対応し、安心したい。そういった心理から「コロナにかかりそうな悪いことをしているやつには、鉄槌を下さないといけないんだ」とエスカレートして、バッシングに走ってしまう人がいるのかもしれません。
「日本特有の理由」はあるのか?
そして日本では、「何か悪い目に遭ったのは、その人が悪い人物だからだ」と考える傾向も強く見られます。これを心理学では、「内在的公正推論」の強さといいます。
アメリカでは、宗教への信仰心が強い人ほど、この傾向が強く見られます。興味深いことに、日本では宗教などにかかわらず、他国に比べてこの「内在的公正推論」が強い傾向が見られるのです。
たとえば、日本では通り魔被害に遭った女性に対して、「そんな時間に外を出歩いているからだ」「そんな格好でうろついているからだ」と、被害に遭った原因を被害者に求める声がしばしば見られます。今回の感染者バッシングに対しても、これと同様に「コロナにかかったのは悪い人だからだ。そんな悪いやつには何をやってもいいんだ」という思いが生まれやすいのかもしれません。
以下ソース先で
8月14日 文春
https://bunshun.jp/articles/-/39658