1 :2020/08/12(水) 20:07:30 ID:CAP_USER9.net
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8月6日に発表された任天堂の2021年3月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比108.1%増の3581億600万円、純利益が1064億8200万円と同541.3%増となっており、その好調ぶりに驚きの声が上がった。
「ニンテンドースイッチ」「ニンテンドースイッチライト」は568万台を出荷。さらに「あつまれ どうぶつの森」が全世界で2000万本以上販売される大ヒット作となり、ダウンロードによるデジタル販売も1010億円で229.9%増と伸びを見せている。これを受けて、株価は8月7日に51450円と年初来高値を更新した。
「バケモノ級」と囁かれる任天堂の決算だが、その度に蒸し返されるのが、グリーの関係者が言い放ったとされる「任天堂の倒し方を知ってる」という言葉だ。ここでは、明暗を分けている両者を象徴するこのキーワードについて考えてみたい。(文:ふじい りょう)
■グリー田中社長は発言を否定していたが……
この言葉は、2012年に産経新聞社のメディア、ZAKZAKの記事で、グリーの面接官が「任天堂の倒し方、知らないでしょ?オレらはもう知ってますよ」と言ったと伝聞形式で掲載されたのが初出とされている。
後に、グリーの田中良和会長兼社長はSankeiBizの取材に対して「僕らはそんなことは言っていない。発言の証拠がないのだからあえて否定する必要はない」というスタンスだったと語っているが、ネット上ではあたかも田中氏が言ったように認識され、言葉が独り歩きした格好となっている。
株価を見ると、2011年11月にグリーは2779円の最高値をつけている。『探検ドリランド』『釣り★スタ』などのヒットタイトルをスマートフォン向けに移行し、「基本無料」のソシャゲの「方程式」を確立させていた。一方で、任天堂は2012年11月に投入した「Wii U」は発売当初にソフトが少ないこともあり苦戦。株価も2013年2月に8440円まで落ち込んだ。
風向きが変わったのは、2016年7月に登場した「ポケモンGO」だろう。このスマホ位置ゲームの開発はナイアンティックと株式会社ポケモンだが、両社とも任天堂の出資を受けている。もちろん、「ポケモン」が任天堂のキラータイトルなのは言うまでもない。
一方でグリーは 2013年に、未成年のクレジットカードによる月額超過課金が発覚し、社会問題化した。その後、対策を講じつつ『アイドルマスター ミリオンライブ!』などを配信したものの、スマホ以前からサービス提供していたタイトルを上回る作品を送り出せなかった。
「ポケモンGO」が登場した際には、既に「任天堂の倒し方を知っている人たちはどうしてる?」とグリーを揶揄する声がネットで上がり始めている。それは、2017年の「ニンテンドースイッチ」の発売などでも繰り返され、VR事業や海外戦略での苦戦が決算で明らかになる度に揶揄されることになった。実際、2017年以降のグリーの株価は右肩下がりとなっている。
■目まぐるしく変わるゲーム業界 他社を貶す表現は要注意
今回の任天堂の決算の際も、「グリーはどうしている?」といった声がまるで呪いのように散見された。田中氏は前述の記事で、「この発言が広まったときに、グリーがもっとユーザーに愛されていれば『そんな発言をするはずがない』と思われていたはずだ」と反省の弁を述べている。
ゲーム市場がグローバル化する一方で、「ソシャゲ離れ」も囁かれる中、ソニーのPS4の「ゴースト・オブ・ツシマ」がヒットするなど、消費者の嗜好は目まぐるしく入れ替わっている。一時の勢いで他社を貶める発言が出ると、後々まで響くということを、ゲーム業界に限らずビジネスパーソンは肝に銘じるべきだろう。