1 :2020/07/26(日) 18:24:43 ID:CAP_USER9.net
2020-07-22 (文/森朋之)
90年代カルチャーが賑わいをみせるなかで、再び注目を集めているJ-POPの歴代ヒット曲。90年代の音楽シーンを大きくけん引してきた1つのジャンルが、ビーイングの楽曲たちである。このコロナ禍、ビーイング系のアーティストらはさまざまなコンテンツを配信して日本を応援していた。「音楽で人々にパワーを」というメッセージとともに伝わるのは、時代を経ても多くの人々の心をつかむ楽曲の「強度」だった。
「負けないで」(ZARD)、「瞳そらさないで」(DEEN)、「DAN DAN 心魅かれてく」(FIELD OF VIEW)、「熱くなれ」(大黒摩季)。曲名を目にするだけで、サビのフレーズが自然と浮かんでくるような名曲がずらりと並んでいる。
今年4月にリリースされた『キミが好きだと叫びたい〜Love&Yell〜mixed by DJ和』。90年代の音楽シーンを牽引し、数多くのミリオンヒットを生み出したビーイングの楽曲をミックスしたコンピレーション盤だ。ミックスを担当したのは、DJ和。累計CDセールス約40万を記録した『ラブとポップ〜好きだった人を思い出す歌がある〜』をはじめ、J-POP、アニソンを中心に通算27作のミックス・アルバムをリリースしているJ-POP系DJの第一人者だ。
ビーイング系の楽曲を中心に、センチメンタル・バスの「Sunny Day Sunday」、the brilliant greenの「There will be love there〜愛のある場所〜」なども収録され、CDセールスがもっとも好調だった90年代のJ-POPを体感できる。本作が堅調なセールスを継続している理由はやはり、収録楽曲の知名度の高さだ。
前述したヒット曲のほか、「Stay by my side」(倉木麻衣)、「じれったい愛」(T-BOLAN)なども収録。アニメ「スラムダンク」OPテーマ「君が好きだと叫びたい」(BAAD)、清涼飲料水のCMソング「いつまでも変わらぬ愛を」(織田哲郎)など、アニメ、CM関連の曲もあり、当時を懐かしみながらCDをリピートしているユーザーも多そうだ。
90年代のビーイング楽曲の特徴は、オーソドックスな歌謡曲にロックサウンド、R&Bサウンドなどを組み合わせたこと。この音楽的なスタイルと、曲名とサビの歌詞を一致させる訴求方法によって、J-POPユーザー、バンド好きのリスナーの両方を取り込むことに成功したのだ。
カラオケでも歌いやすいキャッチーなメロディ、適度にエッジを効かせたサウンドを手がけていたのは、織田哲郎、栗林誠一郎、大島こうすけなどの作家陣だ。ビーインググループの創業者・長戸大幸のプロデュースによる高度なクオリティ・コントロールのもと、ビーイング系のアーティストは一大潮流となった。
ジャクソン5、スティービー・ワンダーなどを送り出し、60〜70年代に盛隆を極めたアメリカのモータウンのスタイルを、日本でもっとも成功させたのは間違いなくビーイングだろう。
90年代のヒット曲は地上波の音楽番組でも繰り返し特集され、世代を超えた知名度を維持している。『キミが好きだと叫びたい』のCDジャケットに起用されている女優の桜井日奈子は本作について、「大黒摩季さん、ZARDさん、WANDSさんの曲を、幼い頃に両親のCDで聴いていたのでお話を頂いたときにテンションが上がりました」とコメントとしているが、彼女のように「親が聴いていたから自分も好きになった」という10代、20代のリスナーも増えているようだ。
ビーイング系楽曲の再評価が進んでいるもう1つの理由は、90年代前後にデビューしたアーティストの継続的な活動とプロモーションだ。
今年30周年を迎えたZARDをはじめ、FILED OF VIEWは25周年ベストアルバム『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Extra Rare Best 2020』をリリース、T-BOLANはAmazon Prime Videoオリジナルドラマ『湘南純愛組!』のオープニング曲「俺たちのストーリー」、主題歌「My life is My way 2020」を提供。また、新ボーカリストに上原大史を据え、“第5期”を始動させたWANDS、20歳前後のメンバーによるZARDトリビュートバンド・SARD UNDERGROUNDのデビューなど、ビーイングの歴史を今に伝えるプロジェクトも進行中だ。こうした取り組みは、ビーイング楽曲の再認識、若いリスナーの掘り起こしなどにもつながっているようだ。
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