1 :2020/06/22(月) 23:48:07
世界的投資家ジム・ロジャーズ氏。
ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並んで「世界三大投資家」の1人として知られる「投資の神様」だ。ソロス氏とはクォンタム・ファンドを共同設立、10年で4200%という驚異的なリターンを叩き出したレジェンドでもある。
「世界的投資家ジム・ロジャーズ氏とは何者なのか? シンガポールで見た素顔」、世界的投資家ジム・ロジャーズの“国家論” なぜ日本はリッチな国ではなくなったのか?に続き、取材翻訳させていただいた『ジム・ロジャーズ 世界的投資家の思考法』(講談社より発売中)では紹介しきれなかったことや筆者が話を伺う中で感じたことを紹介したい。
前回の投稿では、時とともに起きてきた国家の栄枯盛衰と国家が衰退する理由について、ロジャーズ氏の見解を紹介した。実は、その時、ロジャーズ氏が、国家間で生じる「嫉妬」という感情に言及したことを、筆者は興味深く感じていた。
中国の成功が嬉しくない
ロジャーズ氏曰く、
「今、成功している国々が中国に嫉妬し始めています。成功している国々は中国の経済的な成功が嬉しくないのです。アメリカは“中国が雇用を奪っている、中国は悪だ”と主張しています」
確かに、今回の新型コロナウイルス対応においても、世界から「中国は悪」と見られている。
トランプ氏も、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「中国が競争相手国の経済を不安定化させるため、世界にウイルス拡散を促した可能性がある」と、あらためて、陰謀論的な見方を示した。
バイデン民主党大統領候補も中国に対して強硬な姿勢を見せている。
トランプ氏か、バイデン氏か、どちらが中国に対してより強硬な姿勢になれるかが、大統領選の勝敗を決める一つの要因だという声もある。
アメリカでは、国民の政治的求心力を高めるために、中国を悪者にして批判することが政治家の常套句になっていると言える。
実際、3月に行われたピューリサーチセンターの世論調査によると、中国に対して「好意的ではない」と答えた人の割合が66%にも上った。政治家は中国に対してネガティブな見方をしている国民感情に訴えたいのだ。
そんなアメリカの中国批判について、ロジャーズ氏は、歴史の中では起きて然るべき現象だと捉えている。
「歴史を振り返ると、かつては、アメリカや日本も、悪とみられていました。30〜40年前は、当時成功していた日本が悪者扱いされていました。
100年前は、アメリカがイギリスから悪者扱いされていました。イギリスはアメリカの興隆に嫉妬し、怒りを感じていました。アメリカはイギリスから不誠実で、詐欺をしていると批判されていたのです。そして今は、同じことが中国に対して起きています。
しかし、歴史が証明してきたように、好むと好まざるとにかかわらず、世界はそんなふうにできているのかもしれません」
続く
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200621-00184285/