1 :2020/05/27(水) 18:15:54 ID:R5dtXcky9.net
日本は人口の減少、少子高齢化の急進展、国内の生産コスト高などを背景に、経済の多くの分野でグローバル化に乗り、これに依存してきました。
しかし、このところそのグローバル化の流れが逆流するようになり、むしろ反グローバル化が進んでいます。実際、世界貿易は昨年0.4%の減少となり、新型コロナウイルスの感染拡大以前から縮小に転じています。
米中間の貿易戦争の影響もありますが、英国がEUから離脱を決め、米国以外でもブラジルなど「自国第一主義」を掲げる政権が増えています。
その中で日本の輸出も減少を余儀なくされ、国内では消費増税も重なって経済が急縮小に転じています。
反グローバル化の動きが知らぬうちに日本経済を圧迫するようになっているのに気づかず、消費増税をしてしまい、これにコロナが追い打ちをかけました。
トランプとコロナの相乗効果
反グローバル化の流れはトランプ政権が強く進めていますが、これにコロナが加わって流れが一気に加速、日本はいよいよ着いて行けなくなりました。
トランプ大統領はそれまで世界を治めてきた「ディープ・ステート(影の政府)」の支配体制を壊す意図で登場し、実際、WTO(世界貿易機関)を実質形骸化させ、中国とのディカップリングを進め、世界のサプライチェーンを壊しにかかりました。
この象徴が米中貿易戦争で、昨年までに米中が相互に関税引き上げ戦争を繰り返しました。
トランプ政権は中国だけでなく、EUや日本、カナダ・メキシコにも通商交渉を仕掛け、米国第一主義を主張しました。その過程で、米系のグローバル企業には海外での環境を厳しくして米国回帰を促しました。昨年、世界貿易を抑圧した主役は、中国よりもむしろ米国でした。
そこへ新型コロナウイルスの感染拡大がヒト・モノの国際移動を決定的に抑え込んでしまいました。
中国で真っ先に生産を止めてしまったために、日本の自動車産業などは部品が手に入らず、生産できずに工場を止めざるを得ないところも出ました。
自動車以外でもサプライチェーンの制約で生産できない分野が少なくなく、日本も含めて世界の生産活動がコロナ禍で大きな制約を受けることになりました。
日本の輸出依存度(つまりGDPに占める輸出の割合)は14%程度で、世界の主要国の中ではむしろ低いほうになります。
しかし、資源のない日本は、石油や鉄鉱石など、エネルギーや原材料、食料の多くを海外に依存しています。石油は99%海外に依存し、食料でさえ6割以上を海外からの輸入に依存しています。
すでに米国は約200年前の「モンロー主義」を超えた「米国第一主義」を貫き、反グローバル化を進めています。実際、大規模な経済政策で内需を拡大し、世界に出ていた米系のグローバル企業を米国に呼び戻しています。
EUもコロナ禍を経て再び国境を制定し、あのドイツでさえ、大規模な財政政策を打ち出し、内需拡大を図るようになりました。
日本はコロナ対応も遅れましたが、ようやく117兆円という事業規模の緊急経済対策を打ち出しましたが、これも見た目ほど内需拡大効果はありません。営業できない企業、働けない労働者に給付金を与えても、当座の「呼吸」をできるようにするだけで生産には結び付きません。
つまり、支払いの猶予や困った人への所得の移転が中心の政策で、グローバル化縮小を穴埋めするような内需の掘り起こしは意図されていません。
一時的ではなく、かなりの期間反グローバル化が続くとの前提で、これに対処する必要があります。
反グローバル化に対応するためには、政府も企業も頭を切り替え、輸出よりも内需にプラスとなる政策に切り替える必要があります。
企業は労働分配率を適度な水準に戻し、労働者に応分の還元をし、政府日銀は交易条件を改善し、内需にプラスとなる円高を受け入れることです。
「油断」や海外からの供給が途絶えてもいいような、エネルギーも含めた自立型、自給自足型経済に転換する必要があます。
その点、日本の賃金水準はかつての「割高」を失い、東アジアの中ではあまり変わらず欧米よりはむしろ安くなっています。
国内回帰で国内の生産雇用、投資を復活させる条件は整いつつあります。そこでは円安よりも円高が有利となります。金利の正常化も内需にはプラスに寄与します。