1 :2020/05/16(土) 14:10:06 ID:ygRJk+us9.net
緊急事態宣言が全国に拡大された4月中旬。広島県内の私立保育園で追いかけっこをしていた園児の1人が突然、「おなかが痛い」と倒れ込んだ。他の園児がすぐに駆け寄り、医師のまねをして言った。「コロナウイルスですね」
以降、園児らは「コロナごっこ」を毎日のように繰り返すようになった。園児がせきをすると、他の園児が「コロナにかかったんじゃない?」と心配するといい、男性保育士(29)は「大人の不安を子どもが感じ取っているようだ」と話す。
「コロナのばかやろう」。東京都世田谷区の男性会社員(36)は長女(6)がこう口にするのを目の当たりにして驚いた。この春進学した私立小学校の入学式は新型コロナの影響で中止になった。休校が続くなか、公園で自転車に乗ったり木登りしたりして発散させているものの、「ストレスがたまっているのだろう」と心配する。
新型コロナの感染拡大を受け、政府は2月末、全国の小中高校の一斉休校を要請。4月7日には東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、5月の大型連休明けまで休校とする自治体が相次いだ。
さらにその後の宣言延長で、東京都などでは休校期間が再延長され、再開の見通しは立っていない。多くの保育園も、医療関係者などの子どもを除いて登園自粛を求めている。不自由な暮らしで、多くの子どもたちがストレスを抱えているとみられる。
子どもの不調に親はどう気づいたらよいのか。東日本大震災の被災地で震災遺児らの心のケアにあたった中央大の高橋聡美客員研究員(精神看護学)は「本人が言葉で表現できないこともある子どもたちの不安は、多様な形で表に出やすい」と解説する。
高橋さんによると、「コロナごっこ」は「トラウマ遊び」と呼ばれる反応で、自分でコントロールできる遊びの中で繰り返すことで、恐怖から逃れようとする心理の表れと解釈できるという。
東日本大震災を経験した子どもたちにも「地震ごっこ」や「津波ごっこ」がよくみられた。高橋さんは「やめさせる必要はないが、ささいな変化から子どもの不安をくみ取り、寄り添うことが大切」と話す。
親にしがみついて離れなかったり、わがままを言ったりする言動や、頭痛や腹痛、食欲不振などの身体症状として表れる場合もある。落ち着いて見える子どもでも「普段よりずいぶんお利口だなと感じる場合は、大きなストレスを抱えている可能性がある」と注意を呼びかけている。
2020/5/16 11:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59209150W0A510C2CE0000/