1 :2019/12/19(木) 15:44:33.44 ID:2xx4DyME9.net
■メディアと男性が作った痴漢文化、痴漢ブーム
かつて日本のメディアには「痴漢文化」「痴漢ブーム」があった。出版、新聞、テレビを問わず男性メディアに共通した現象だった。とりわけ1990年代は、痴漢体験記や痴漢マニュアル、痴漢常習者による手記が出版された他、雑誌には痴漢を扱った記事が数多く掲載された。痴漢専門誌が創刊されたほどだった。
男性誌には、痴漢しやすい場所の情報が掲載され、常習者の手口や痴漢だと通報された場合の対策など、痴漢のススメとしか言いようがない記事が掲載されていた。その時代のことを覚えている人はいるはずだ。
女性たちは、痴漢のない電車に乗りたいと、声をあげ、社会を変えようとした。この時代は、痴漢冤罪事件が頻発し始めた時期とも重なっている。
男性を主な読者に想定している雑誌を見ると、折に触れ、電車や駅で痴漢にまちがわれた時の対策が記載されている。それらに共通しているのは、「駅員室に行ってはいけない」というもので、駅員室に行くことが実質的な現行犯逮捕を意味するという前提に基づいている。
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■焦点は「痴漢に間違われた時の対処法」へ
テレビ番組にも頻繁に出演している弁護士は、雑誌の対談で「走って逃げてもよい」と述べていた。その一方で、逃げると犯人だという印象を強くするから危険であるという意見もある。
名刺を渡して、いつでも連絡が取れる状態であることを相手に納得させてその場から離れるように勧める者もいるが、名刺を渡すことは恐喝や通常犯逮捕に繋(つな)がる恐れがあるから勧めないという者もいる。 無実であれば、逆にこちらが告訴をすると宣言せよという意見もあれば、訴えると言って牽制するのはむしろ相手を刺激して危険だという意見もある。
痴漢ならば手に着衣の繊維がついているはずだから、手に付着した微物の検査を要求して無実であることを訴えるように勧める者もいる。しかし、触っていなくても類似した繊維が検出される恐れがあることから、微物検査を勧めない論者もいる。
どのアドバイスにも反論があり、決定打はない。
■痴漢冤罪問題はどう報じられてきたのか
痴漢冤罪問題は、それが報道され始めた2000年ごろから、被害女性によって痴漢だと駅員に突き出されることが逮捕を意味すること、逮捕されれば自分の無実の主張は聞き入れられず推定有罪のベルトコンベアに載せられるという認識が一緒に語られていた。「駅員室に行ってはいけない」は、それを象徴する。
男性誌には、痴漢だと騒いだ女性の迷惑話がしばしば掲載されていたが、痴漢呼ばわりされた男性は、逮捕はおろか検挙されなかったにもかかわらず、痴漢だと名指しされることが逮捕を意味しない事例としては扱われなかった。
2009年に痴漢容疑で取り調べを受けた男性が自死したいたましい事件は、多くの媒体でとりあげられたが、逮捕された事件ではないということには目を向けられなかった。そして、冤罪被害者の経験した警察での取り調べは、全ての痴漢事件においても行われているという論法で、痴漢冤罪の問題が語られた。
■「痴漢→現行犯逮捕」メディアが作った痴漢冤罪の物語
筆者が、大阪府警への情報開示請求によって得た「電車内・駅構内における痴漢、盗撮等の把握状況」によれば、2017年に迷惑条例違反が適用される電車の中の痴漢事案で加害者が判明しているもののうち、現行犯逮捕されたものは39%であった。
痴漢だと言われることは現行犯逮捕を意味するという認識は正しくないのである。
痴漢を疑われて駅員室や交番に行っても、現行犯逮捕を意味しないという情報は、痴漢冤罪を恐れる男性にとっては不安を解消する情報であると思われるが、そうした情報は参照されずに、駅員に通報すれば現行犯逮捕されるという話が広まっている。
それらの多くは弁護士のコメントによって支えられて、あたかもそれが事実であるかのように広まっている。女性の供述によって痴漢事件が作られると非難する一方で、メディアは痴漢冤罪という物語を作ってきたのだった。
12/18(水) 11:15配信
プレジデント
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191218-00031474-president-soci&p=2