1 :2019/08/29(木) 21:47:32.55 ID:na5xKaX39.net
しかし特別な物件だけに、思わぬ維持・管理費がかかることも。そんな事情に詳しい専門家がメリット、デメリットを解説する──。〈取材・文/千羽ひとみ〉
タワマンは賃貸で住みたい
「タワマンは庶民が35年ローンを組んでまで購入すべきものではありません。一部の富裕層を除き、賃貸で居住すべきものでしょう」
こう語るのは、税理士でマンション管理士の資格を持つ宮路幸人さんだ。
マンションに入居すると、エレベーターや照明設備など共用部分の費用をまかなう管理費とともに、12〜15年間隔で行われる大規模修繕工事に備えての修繕積立金(以下、積立金)の支払いが発生する。
宮路さんの調査では、購入直後のタワマンの管理費は平均約2万円、積立金がおおむね1万円未満の計3万円弱。
「ところが積立金は段階増額方式を採用している場合が多く、年数がたつと当初の4〜5倍になるケースがあります。
購入当初はマンションの修繕がほぼ必要ないことに加え、不動産会社が売らんがためにできるだけ安く設定して売り出すからです」(宮路さん、以下同)
マンションは年数が経過すると資産価値が下がるが、逆に修繕のための積立金などは上昇する。経年によって傷む部分が増え、そのメンテナンスが欠かせないからだ。
「そうなると、投資目的の富裕層は売却や買い替えなどの方向へ動きますし、住宅ローンを組んで購入した人たちも年金生活に入ってしまい積立金の値上げに応じるのが難しくなっていくのです」
積立金は2回目以降、不足する可能性が高い
それでも築12〜15年で行われる1回目の大規模修繕はどうにかしのぐことができる。建物にもまだそれほど傷みはみられないし、居住者たちも現役世代が主流だからだ。
だが、この1回目の大規模修繕をなんとかしのげたとしても、建物を老朽化から守り、資産価値を守りたければ、2回目、3回目と、10数年ごとに大規模修繕が必要。
「2回目では、基幹設備の修繕に手をつけなければなりません。エレベーター、給排水設備、機械式駐車場などで、この修繕は1回目よりずっと大規模。2回目以降は積立金が不足する可能性が高くなるのではないでしょうか」
結果的に、憧れのタワマンが廃墟化する可能性も否定できないというのだ。
「廃墟化を避けるためには、積立金の増額か、多額の臨時徴収をお願いするしかありません。しかし値上げ時には、年金生活者から“そんなにお金がかかる工事は不要”などの反対が予想されます。
必要な大規模修繕を実施せず、資産価値が下がると、余裕がある人ほど出ていってしまう。富裕層や投資目的での購入が多いタワマンの場合、それが顕著でしょう」
世帯所得が年1400万円でも購入は相当リスキー
こうした背景のもと、資産価値が下がれば即、売却できるような富裕層以外の人たちは、タワマンは賃貸がベターであると宮路さんは主張する。
「富裕層を除くタワマン購入者の多くは世帯所得が年1400万円超のパワーカップルといわれる人たち。
カップルで働いていますから、購入時の世帯所得こそ平均よりかなり豊かですが、多くが多額のローンを組んでの購入です。
産休、育休で収入が下がる可能性や、決して安くはない管理費などの支払いを考えると、タワマンの資産価値が低下した場合、長期ローンを組んでの購入は相当リスキーではないでしょうか」
確かに賃貸であれば、転居はずっと簡単だ。都心のど真ん中に住む利便性や、時代の最先端をいく場所に住む満足感、プールやジムなど充実した設備目的でタワマン居住を望むなら、賃貸での入居は確かに一考すべき。
マンションの資産価値についても、こんなことを──。
「昔のように住宅不足で地価が右肩上がりの時代なら、利便性のいいマンションは資産価値がありました。
しかし、少子高齢化が進み、空き家の増加が問題になるこの時代、ビンテージマンションと呼ばれる一部の物件こそ資産価値は高いですが、それ以外はいかがなものでしょうか」
タワマンは購入してはいけないものなのか。